箱庭少女の孤高哀歌【瞬木隼人】～番外編2〜 (ページ15)

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#振り回すページ15

瞬木「で？それだけか？」

A「えっ？他っ…？ほ、他には…！」

こうなったら全部聞いてやろうとしたら、彼女は少し戸惑いながらおもむろにパンフレットを開いた。

パンフレットと睨めっこしながら他に行きたい所を探すA。あんまりにも真面目だったからちょっと笑っちゃった。

この調子じゃ今日1日で回りきれないかもな？

瞬木「じゃ、ウォータースライダーの次はAの好きなアトラクションに乗ろうな」

A「えぇっ？！いいの！？」

瞬木「勿論。ここまで俺達が散々付き合わせたんだ。少しくらい俺達を振り回したっていいんだぜ？」

A「そ、そんな…！振り回すなんて…！」

別に構いやしないのに、Aはまだ遠慮してゴニョゴニョ。視線を落としてブツブツ呟くAに俺は思わず笑みを浮かべると、Aはバッと顔を上げる。

笑われて恥ずかしかったのだろうか。
ムッ、とした顔で俺をジトッと見遣る。
そんな彼女の鼻に軽くデコピンしてやった。

瞬木「いいんだよ。寧ろ、今の内に振り回してもらってもイイんだぜ？

夜は俺が振り回してやるつもりだからよ」

A「へ、」

瞬「隼人兄ちゃーーん！！」

丁度そのタイミングで瞬と雄太が戻って来た。

瞬が満面の笑みで俺達の元に駆け寄り、その勢いのまま俺に飛び付いた。後から雄太が追い掛けて来て「全くもう…」と呟く。

雄太「……あれ？A姉ちゃん？どうしたの？」

A「っ……？！」

が、ふと雄太がAの異変に気付いたらしい。
疑問をそのまま尋ねると、途端にAの肩が跳ねた。

それもそうだろう。
タコみたいに真っ赤な顔して呆然としてるんだ。人一倍、Aに気を使ってる雄太は気にもなるだろう。

Aは慌てて取り繕って「ううん！なんでも！」と首を横に振ると、握り過ぎて少しシワになったパンフレットを広げて「さぁ！ウォータースライダーに行こう！」と上手く顔を隠しながら先導した。

……まぁ、顔は隠せても真っ赤になった耳は隠せてないんだけど。

雄太「…………兄ちゃん、A姉ちゃんに何したの？」

瞬木「別に何にも」

雄太「……」

瞬「……？ふたりとも、A姉ちゃんについていかなくていいの？」

おかげで雄太には睨まれてしまったけど、仕方ない。

俺達はAの後を追って行った。