箱庭少女の孤高哀歌【瞬木隼人】～番外編2〜 (ページ13)

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#お誘いページ13

A「うーん……ガイドさんになろうって思ってはないけれど……でも、今日のこの企画は私が言った事だし……皆には楽しんでもらいたいから！」

顔を上げるとAはパッと笑顔になり、楽しそうに笑う。

キャスト顔負けの実にいい笑顔だった。
実際、今日の彼女は成りきってる部分もあると思う。
そして、ソレを苦とは思っていない。寧ろ自分から進んで取り組んでいる。

その姿を見ていると、いつしかのキャプテンと重なった。

皆の〝キャプテン〟に徹したあまり、本来の力を出せずにいた大馬鹿者が。

勿論、彼女にその自覚はないんだろうが……
あぁ、なんだろうな、このモヤモヤしたモンはよ。

瞬木「……それってAも含まれてるのか？」

A「…？うん！私も楽しいよ！」

瞬木「……」

そうして、こういうタイプのお人好しは屈託のない笑顔でそんな事を言うんだ。

勿論、楽しんでいるんだとは思う。
でも多分、心からじゃない。

このままじゃ彼女は思いっ切り楽しめないまま今日を終わらせてしまう。こんな夢の様な貸切企画、きっともう二度と出来ないのに。

それは俺も嫌だ。Aにだって楽しんでほしい。
瞬や雄太のように、楽しんでほしい。

そこで俺はようやく、意を決した。

瞬木「…………なぁ、A」

A「うん？なぁに、はー君？」

またパンフレットを見始めたAを呼ぶと、Aはまた顔を上げて首を傾げた。

そんな彼女の片手を掴むと、Aは目を丸く見張る。
続きを言うのが照れくさかったが、俺は更に言葉を続けた。

瞬木「夜……観覧車に、乗らないか？」

A「えっ…？」

瞬木「さっき、キャプテン達と話してた時、乗りたがってたろ？夜の観覧車。だから……」

A「うん、いいけど……瞬くんと雄太くんにも聞いて……」

瞬木「っ……い、言っとくけど、2人で(・・・)乗るんだからな？」

A「…………へっ？」

俺がそう言うと、Aは間の抜けた声を漏らした。

暫く呆然としていたが、やがて理解したのだろう。
徐々に顔が赤くなってって、パンフレットを握り締める手に力が込もった。