◆悪者は憤る ページ30
「本当は……昨日の会話、所々、話は聞こえてたの」
「騙すようでごめんね」と律儀に謝られたが、だったら最初からやるなよな。
ああ、そうだ。コイツもあの雷門の仲間だった。
あのお人好しと同じチームにいた奴だ。
鬼道クンみたいに目の敵にでもしてくれれば、楽だったのに。そうじゃないんだもんな。
ああ、これだから嫌いなんだよ。この手のお人好し。
「あの時の不動くん、何だか……苦しそうな、声をしてた…気がしたの。揉めてるようにも聞こえたけれど……違う、よね？
だって不動くん、Aちゃんには嫌な事、した事ないんだもんね……？」
あー、しかも結構、話聞かれた。
壁うっすいなぁ、この宿舎はよォ。
ｽｯと身体の熱が冷えていく。
ざわざわとイヤに胸が騒がしい。イライラする。
自分でもどうしてこんな事でここまで憤れるのか不思議に思う。ああ…多分、相手があのちんちくりんと同じ人種だからだ。
この後言う事が、容易に想像ついちまうからだ。
俺は彼女を睨む。それ以上踏み込まれたくなかった。
それ以上、何も言われたくなかった。
なのに彼女は怯む事なく、言葉を続けた。
「不動くんって…もしかして、Aちゃんの事、大切にしてくれているのかな、って……思って。
……私達が、間違ってるのかな、って。
私達が考えている程、不動くんは悪い人じゃなくなったのかな、って……」
「……………ハッ、」
思わず、笑いが込み上げる。
俺が悪い人じゃない？私達が間違ってる？
……勘違いも甚だしい。
「俺が？あのちんちくりんを？冗談じゃない。
アイツが俺に付き纏って来るんだよ」
俺はわざと溜息を吐いてみせる。
彼女の眼光が一瞬だけキツくなった。
そう、あのちんちくりんが犬みたいに尻尾振って付いて来るだけ。付き纏って来るんだ。
だからちょっと相手してやってるだけだってのに、冗談じゃない。
「メーワクな事この上ないよなァ？
ただ過去に一緒にサッカーしただけだってのに、それだけでアイツ、ストーカーみたいに付いて来るんだ。
ま、適当に相手してりゃ勝手に満足してくれるから、まだいいんだケドよ」
「……じゃあ、なんで突き放さないの？」
……不覚にも、言葉が詰まった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 240人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「イナズマイレブン」関連の作品
【イナズマイレブンGO】ミストレのご先祖様は世界最強のエースストライカー！part4
【イナイレ/男主】アリウムが芽吹く頃.3【エイリア学園編】
残念至極 十年前の君へ【イナイレ】
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
＊IJu＊(プロフ) - カニ味噌汁さん» コメントありがとうございます！そんなにお褒め頂き嬉しいです…！楽しんで頂けているようで^^更新頑張りますー！ (2022年10月17日 1時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
カニ味噌汁(プロフ) - 今まで見てきたイナイレの作品の中で一番好きです！更新頑張ってください！ (2022年10月11日 4時) (レス) @page45 id: cefe10f937 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 更新ありがとうございます！！ (2022年9月10日 1時) (レス) @page38 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃんちゃん(プロフ) - 更新ありがとうございます！本当最高です！ (2022年8月11日 16時) (レス) @page30 id: b236fc8679 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - たけのこさん» コメントありがとうございます…！気に入って下さって嬉しいです^^更新頑張りますー！ (2022年8月8日 14時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
