◇ラプンツェルと気遣い ページ25
「大丈夫か、黒井？」
不意に声を掛けられて、私は我に返った。
そうして自分は今、お茶を用意してる最中だった事を思い出して、慌てて傾けていたポットを上げて、声の主の方を見る。
そうしたら、そこにはカゼマルが立っていた。
私の顔を覗き込んで、心配そうな顔をして。
「大丈夫！」って返したら「でもぼーっとしてたぞ？」って言われて、私は思わず言葉を詰まらせた。
うぁ……昨日はあれから中々眠れなかったから……
フドウがすっごく気になる事言うから。
『俺は、お前を見殺しにしようとした事があるんだぜ？』
昨日の夜、フドウが言っていた言葉。
その言い回しが気になって気になって。
でも
つまり、私が死にそうな時にフドウがただ黙って見てたって事でしょ？助けなかったって事でしょ？
普段は意地悪だけれど、流石に人の命を取るような意地悪をする人じゃない。だから、考えられなくて。
それに私の命が危なかった時なんて言ったら
私が海に身を投げた、あの瞬間ぐらいしか思いつかないし。
だとしたら……ヒロトの話は本当だって事、なのかな？
だって、あの時、私を助けたのはヒロトなんでしょう？そう言ってた。
そうだとすると……辻褄は合う、けれど……
「ち、ちょっと考え事してて……」
「そうか？でも程々にな。
またお茶で滑って転んでも知らないぞ」
「も、もうそんな事しないもん！
そーゆー事言う人にはお茶あげない！」
誤魔化そうとしたらカゼマルにまでからかわれて、私はプイッとそっぽを向いたら「ごめんごめん」って軽い感じで謝られてしまう。
ついでに私が配って回ろうとしていた、麦茶の注がれたコップを沢山置いたトレイを持ち上げられた。
「これで許してくれ」なんて言われて、私の有無も言わさず持ってかれてしまった。
私の代わりにカゼマルが他の人にお茶を配膳する姿を見て、私は思わず溜息を吐いた。
……今のカゼマル、絶対私の病気の事知って、気遣ったでしょ。
すっごく有難い事ではあるんだろうけれど……
そういうの、イヤだって言ったのになぁ。
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＊IJu＊(プロフ) - カニ味噌汁さん» コメントありがとうございます！そんなにお褒め頂き嬉しいです…！楽しんで頂けているようで^^更新頑張りますー！ (2022年10月17日 1時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
カニ味噌汁(プロフ) - 今まで見てきたイナイレの作品の中で一番好きです！更新頑張ってください！ (2022年10月11日 4時) (レス) @page45 id: cefe10f937 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 更新ありがとうございます！！ (2022年9月10日 1時) (レス) @page38 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃんちゃん(プロフ) - 更新ありがとうございます！本当最高です！ (2022年8月11日 16時) (レス) @page30 id: b236fc8679 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - たけのこさん» コメントありがとうございます…！気に入って下さって嬉しいです^^更新頑張りますー！ (2022年8月8日 14時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
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