◇ラプンツェルとラジオドラマ ページ19
「あ、あー、その事ね！そ、それはね、えぇっと……」
悩むフリをして私は後ろ手で部屋の扉を閉める。
フドウの事は誤魔化したけれど、やっぱり見られたらバレちゃいそうだから。
そうして必死に頭をフル回転させて、それっぽい言い訳を考えてみる。
とは言っても、夜中に怒鳴り声が聞こえるのが自然な理由ってなんだろう……どう考えても異常だよね。
も〜、なんでフドウ怒鳴っちゃうのかな……って思ったけれど、私のせいだから何とも言えない……
私の返答を待つアキの視線に耐えながら、私は1人必死に考えて、考えて。
ふと、脳裏に浮かんだ言い訳をそのまま口にした。
「じっ……実はラジオ聴いてて！」
「……ラジオ？」
「そーそー！ラジオ！ラジオドラマって言うやつ！」
「ラジオ……ドラマ？」
病院にいた時、毎夜ラジオを聴いていたおじいちゃんがいて、夜中に私も一緒に聴いた事があった。それがラジオドラマ。
声だけなのにスゴく迫力があってね、その場その場の雰囲気が手に取るようにわかるし、情景も自然と浮かんで来るの。声だけなのに不思議でしょ。
とは言っても、おじいちゃんが聴いてたのは読み聞かせみたいな優しいお話だったけれど……
お、お話によっては怒鳴ったり怒ったりするものもあるよね！多分！
そんな、私もそこまで詳しくないラジオドラマの事をアキに説明して、その上でさっきの怒鳴り声はそのラジオのものだったと話すと、アキは首を捻って訝しげな顔をする。
「……そんなラジオってあるのかしら？」
「そ、それがあるんだよー！結構激しいお話でさ！
その途中で私、間違えて音量おっきくしちゃったみたいで……丁度その時、さっきの怒鳴り声の場面だったから……」
「じゃあ……さっきの声はラジオの声、なの？」
「そうそう！そーゆー事！」
「…………」
……自分でも結構厳しい言い訳だとは思う。
アキも疑っているかのような表情で私を見遣る。
でもでもこれ以上の誤魔化しは効かない。
話しちゃったモノを後から訂正すると更に怪しまれちゃうし、もう私は心の中で祈るしかなかった。
じーーっとアキに見つめられ、そらしたくて。
でもそらしたら、怪しまれると思って私もアキを見つめ返していると、不意にアキはふっ、と笑った。
「……わかった。今回はAちゃんを信じてあげる」
「ほ……本当？」
よ……良かった……
アキの返答に私は胸を撫で下ろした。
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＊IJu＊(プロフ) - カニ味噌汁さん» コメントありがとうございます！そんなにお褒め頂き嬉しいです…！楽しんで頂けているようで^^更新頑張りますー！ (2022年10月17日 1時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
カニ味噌汁(プロフ) - 今まで見てきたイナイレの作品の中で一番好きです！更新頑張ってください！ (2022年10月11日 4時) (レス) @page45 id: cefe10f937 (このIDを非表示/違反報告)
mikitty(プロフ) - 更新ありがとうございます！！ (2022年9月10日 1時) (レス) @page38 id: 75972ecbb8 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃんちゃん(プロフ) - 更新ありがとうございます！本当最高です！ (2022年8月11日 16時) (レス) @page30 id: b236fc8679 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - たけのこさん» コメントありがとうございます…！気に入って下さって嬉しいです^^更新頑張りますー！ (2022年8月8日 14時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
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