検索窓
今日:19 hit、昨日:44 hit、合計:3,097 hit

ページ8

「……ごめん、ラキオ。俺、行けない」



自分の気持ちを押し殺し、俺は首を横に振った。

そうしたらラキオは一瞬だけ、目を丸く見張る。予想外、とでも言いたそうな顔だった。
そうして「…フンッ」とそっぽを向くと眉を顰め、横目で忌々しそうに俺を睨んだ。



「………………あ、そう。折角、この優秀な頭脳を持つこの僕の役に立てたと言うのにね。チャンスはもうあげないよ?」

「……うん、ごめんね。

でも、ありがとう」

「……?」



いつも通りの上から目線。
でもいつもより勢いを感じなかったのは気のせいだろうか。

ループの事を考えたら、もどかしくて、寂しくて。でも言った所でラキオを困らせるだけだから、当たり障りのない事しか返せなかった。
言葉が足りなかったのか、ラキオには不思議そうな顔されたけど。



「……因みに君はどこの星で降りるつもりなの?」

「……降りれるなら、故郷に帰ろうかなって。
ほら、俺兄妹いるから……」

「…?そうだったの?初耳だけど?」

「あ……そっか。知らないんだっけ。
うん、兄妹いるんだ。だから、帰らなきゃ」

「……その兄妹とやらも連れて来てもいいと言ったら?」

「えっ」



話している内に懐かしく、自然と下がる視線を思わず上げる。

だがラキオは対称的に視線を落として「いや……」と目を伏せると、溜息混じりに続けた。



「今のは聞かなかった事にしてくれ。何も君を困らせようってワケじゃないンだ。

ただ、どうしても……」



そっと目だけで俺を見遣るラキオ。

海のような綺麗な瞳は何を考えているんだろう?アンニュイな表情も相まって、分からない。


その内「なンでもない」と顔を上げ、いつもの憎たらしい笑みを浮かべた。



「ま、勿体ない事をしたね君も。世紀の瞬間を目撃できたかもしれないのに。

じゃあ、僕はこれで。
明日の昼頃には着くらしいから、風邪治ったンなら機材運びヨロシクね」

「って、最後の最後までパシらせるつもりかよ!」



最後にそう言い捨てて、ラキオは行ってしまった。

クッソ……何で病み上がりに仕事させようとするんだよ……やるケドさ。


……それにしても、ラキオと一緒に船降りる、かぁ……

それってなんかちょっと面白そう。
兄妹も一緒でいいなら、付いてってもいいかもな。
今更、世話しなきゃいけない人が1人増えた所で変わらないし。



ループ終わったら、そうしてみようかな。

恋?バナ【夕里子】→←*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (20 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
38人がお気に入り
設定タグ:グノーシア , 短編集
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

*IJu*(プロフ) - ハムエッグさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けているようで嬉しいです(ㅅ´꒳` )これからも更新がんばります〜! (2月7日 0時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
ハムエッグ(プロフ) - この作品好きすぎて一気見しちゃいました.....!! (2月6日 16時) (レス) @page26 id: e9b251311b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2023年12月17日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。