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「……あぁ、ステラならコールドスリープしたよ」
「え」
「エンジニアのしげみちが彼女をグノーシアだと言ったからね。それで彼女に頼まれて、この僕がわざわざこんな所まで訪ねに来たと言うわけさ」
ま、まさかステラさんがコールドスリープされるなんて……しかもグノーシア?マジ?
今日の議論は参加してないし、何よりさっきまではいつもの優しいステラさんだったから、何とも言えない気持ちになった。
でもまぁ……しげみちの嘘は分かりやすいし……エンジニアとして名乗り出た時点で怪しまれていないなら、彼は本物か。となると、そんな彼からの黒出しは信ぴょう性が高い。
高いんだろうけれど……
「……とりあえず、早く薬を受け取ってくれない?こう見えても僕は忙しいンだ。君みたいに呑気に突っ立ってる時間はないンだよ」
ステラさんの事で戸惑っていると、不意にラキオはそう言って、手にしていた物を差し出した。
ソレは薬と水の入ったコップが乗ったお盆。
きっとステラさんが用意してくれた物だろう。
俺はソレを受け取り御礼を言うとラキオは「フンッ」と忌々しげに眉を顰めた。
「……ところで、他に不備はない?」
「ふび?」
「喉が渇いた、とか寒気がする、とか。
あと……お腹も空いてるンじゃない?今日はまだ何も食べていないらしいじゃないか。イートフェチは大変だね」
「あ、あぁ……いや、別に今は大丈夫、かな。
強いて言うなら……やる事なくて暇で暇で」
「なら大人しく寝てればいいじゃない。病人なんだから当然だろう?」
「…………ハイ」
……いや、まぁ確かに間違ってはない。
間違ってはないけど、なんだろう……腹立つなやっぱ。
とは言え、本当にその通りなので何も言えず、俺は大人しく返事をすると、最後にラキオは言った。
「じゃあ、後で食事を持って来るからね。それまで病人らしくしていればいいさ」
「…………うん?」
言い終わるとこっちの返答も聞かずにラキオはその場から去って行き、部屋の自動扉が閉まる。
再び1人になった俺は今し方ラキオに言われた事が信じられなくて。クシャミをするまで俺はその場から動けなかった。
………え?
あのラキオが『食事を持って来る』っつった?
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*IJu*(プロフ) - ハムエッグさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けているようで嬉しいです(ㅅ´꒳` )これからも更新がんばります〜! (2月7日 0時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
ハムエッグ(プロフ) - この作品好きすぎて一気見しちゃいました.....!! (2月6日 16時) (レス) @page26 id: e9b251311b (このIDを非表示/違反報告)
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