グノーシア短編集＊LOOP4＊

＊ ページ20

1日目


『君、どうやらこの船から本当に出て行ったようだね。今朝知ったよ。君がいなくなったって騒ぎ立てる連中を説き伏せるのがどれだけ大変だったと思う？
何処にいるのか知らないし知りたくもないけれど、気が済んだらさっさと戻って来てくれる？今後の方針についても話し合わなきゃいけないからね。
※返信不可』



2日目


『何？本当にいなくなったの？てっきり僕は船内で童子みたいに隠れているものだと思っていたのだけれど。まぁ別に君の事だから政府の中枢に突っ込むようなマネはしないと思っているけれど、他の連中が物騒な事を妄想しているからさっさと帰って来てくれない？
君のせいで今後の作戦に支障が出たらどう落とし前をつけるつもり？
※返信不可』



3日目


『驚いた。まさかここまで頑固だとは思わなかった。もしかしてこのメッセージに目も通していないの？呆れた。
いつまでも子供みたいにへそを曲げていないで、少しはこっちの事も考えてくれない？』

『せめて返事ぐらいはしたらどう？』



4日目


『分かった分かった。僕が悪かったよ。
まさかここまで君が強情だとは思わなかった。僕の負けだよ。君の勝ち』

『確かにあのアクセサリーに対する僕の感想は正直に言い過ぎた。もう少しオブラートに伝えるべきだったかな。
でも正直、急にあンな物送る君にも非があるよね？別に欲しいとは一言も言っていないのにあンな物をくれるなンて。一体何を考えているの？何も考えてないの？』

『まぁ小言は戻ってからたっぷり聞いてあげるから、とにかく戻って来てくれない？レムナンまで政府に君が攫われたんじゃないかって与太話に乗せられて大変なンだ。
勝手に飛び出さないように抑えていられる内に返事ぐらいは頂戴よ』



5日目


『今何処にいるんだい』

『五体満足で無事でいるのかい』

『このメッセージは届いてるよね？』

『何でもいいから返事しなよ』



6日目


『僕が悪かったから。帰って来て』

『僕が全部悪かったから』

『何か気に入らない事があるなら言ってよ。
出来る限り直してあげるから』

『ねえ』

『君は今、何処にいるの？』

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