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「えっ…本当に出てったんでしょうか…?」
「いやでも出てったとして何処に行ったんだ…?この船の外は銀河だぞ。チップで追跡出来ないか?」
「それが通信途絶状態で……恐らく電波の届かない所にいるか、あるいはチップを外されたか……」
「外してたらヤバくないか…?
人体用チップがないとグリーゼ船団国家には戻れない……戻って来れてもチップが無いと知られたら最悪肉塊市民に……」
「…………」
……大袈裟な連中だ。
人体用チップについてはレムナンと一緒に再三注意したから取り出そうなんて思うはずもない。
周りは何も無い銀河だし、適当な惑星まで飛んでいれば流石のグリーゼの技術で作られたチップだろうと追跡は困難だろう。
万が一……いや、億が一にも。
彼女が自分自身の手でチップを取り覗いたのだとしたら……
「だ、誰か連絡はした?安否確認取れない?」
「いつ居なくなったの…?昼頃まではまだいたよね?」
「み、皆さん落ち着いて…!お、落ち着いて…!」
だんだんと不穏な空気になっていく。
騒ぎ出す彼等をレムナンは落ち着かせようとするが、騒ぎは大事になるばかりで全然収まりやしない。
あぁ、忌々しい。これだから凡愚は。
こンな事で一々騒ぎ立てる連中も。ここまでの騒ぎになる事を想像すら出来ず勝手に出てった彼女も。
忌々しい。
「静かに。まだ今朝の報告が終わっていないよ。
騒ぐならソレが終わってからにしてくれない?」
とりあえず今はそンな事よりやるべき事がある。
だから僕はそう言ったら、途端にブーイングの嵐。
「貴方のせい」だの「あんな事言わなければ」だの「もう少し言い方がある」だの。言いたい放題言ってくれてさ。思わず溜息が出るね。
「彼女の事なら僕が何とかするから。だから君達は気にせず君達の成すべきことをするンだよ。こンな事で政府共に屈するのは嫌だろう?」
「で、ですがラキオさん…!」
「……じゃあ、まずはレムナン。リーダーとしてこの基地の現状を今一度、凡愚共に教えてくれるかい?
そうすれば少しは大人しくなるだろうから」
「あっ……」
仕方ないからそう言ってみると、レムナンの表情が強ばる。他の騒いでいた連中もそうだ。
それもそうだろう。僕達、革命軍は圧倒的劣勢側。
戦力も武器も物資も、何もかもが乏しい。
本来なら人1人がいなくなったからって構ってなんかいられないンだよ。
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*IJu*(プロフ) - ハムエッグさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けているようで嬉しいです(ㅅ´꒳` )これからも更新がんばります〜! (2月7日 0時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
ハムエッグ(プロフ) - この作品好きすぎて一気見しちゃいました.....!! (2月6日 16時) (レス) @page26 id: e9b251311b (このIDを非表示/違反報告)
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