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「わっ、セツ?!」



彼女の後ろでピタリと歩みを止めると、気配で気付いたのかAがこちらを振り返り、驚いた顔をする。

あぁ、議論で毎日顔を合わせ、声を聞いているはずなのに。久方振りに会ったかのような感覚だった。


それだけで、胸の奥の痛みが少しだけ和らいだ気がした。



「おわっ!誰かと思えばセツさんじゃないDEATHか!急に来たからビックリしましたゾ!」

「驚かせてしまって、すまない。つい……」



思っていたより驚かせてしまったようだ。
SQにも驚かせてしまい、私はまず謝罪する。

それもそうだ。人が急に背後に立っていたらびっくりもするだろう。ただでさえ今船内にはグノーシアが闊歩している危険な状態なのに……2人には申し訳ない。



「んでんで?どーしたのかにゃ?Aにゃんに何かごヨージ?」

「えっ?あ、いや……その…………
……2人は?何処か行こうとしていたの?」

「そそ!今からジナとオトメと女子会しようZE!って話してて。Aもご招待しよっかなって」

「何それ、楽しそ〜!」



案の定、SQはAと話……いや、女子会のお誘いをしたいようで、Aも乗り気のようだった。


ああ、どうしよう。
またどうしようもなく焦燥してしまう。

別に焦る所なんてないはずなのに。
本当にどうしてしまったんだろうか、私は。


自分で自分の気持ちがいよいよ分からなくて。
自分から聞いたクセに私は「へ、へぇ〜……」と気のない返事をしてしまうと、SQからは「あんまり興味ないカンジ?」とツッコまれ、Aからは首を傾げられてしまった。



「んでんで?Aはどお?女子会、来る?」

「っ…!」



SQから改めて誘われ、私は思わずAの腕を掴む。

どうして掴んだのかも分からない。
ただ、何故か「盗られる!」と一瞬思ってしまった。


案の定、また2人は驚いた顔をして私を見遣る。
目を瞬かせ「どうしたの?」とAに言われ、私はぐるぐると考える。考える。

考えていると、ふとAの腕を掴む手がやんわりと包み込まれる。顔を上げるとAは私の手の上に自分の手を重ねながら、微笑みを浮かべていた。

*→←譲れない日【セツ】



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*IJu*(プロフ) - ハムエッグさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けているようで嬉しいです(ㅅ´꒳` )これからも更新がんばります〜! (2月7日 0時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
ハムエッグ(プロフ) - この作品好きすぎて一気見しちゃいました.....!! (2月6日 16時) (レス) @page26 id: e9b251311b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2023年12月17日 0時

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