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「……俺もいっこ、気になったこと聞いてい?」

「ど、どうぞ……」

「レムナン、もしかして首のソレ付けたままシャワー浴びた?」

「えっ?」



言われて僕は自分の首に触れる。

そこにあるのは自分の首と、細身のチョーカーの感触(・・・・・・・・・・・)


そうか。普通だったらこういう装飾品はシャワーを浴びる前に外す物だ。だから気になったんだろう。

僕は何となくチョーカーを指先で弄りながら、Aさんの質問に答えた。



「は、はい……」

「…………そっか」

「も、もしかして……付けたまま浴びたらダメ、だったりするんでしょうか……?」

「あ、いや。別にダメとかじゃないよ。
ただ、なんで付けっぱだったのかなって。そーゆーのって濡れるの嫌じゃない?」

「いえ……別に。寧ろ、無いと落ち着きませんから……」

「……大事な物なんだね」

「ええ、はい……とても大切な物です。

とても、大切な……」



話しながら、自分の口元が緩くなるのを感じた。


『大事な物』
そう、ちゃんと分かってくれたのが嬉しくて。
どうしようもなく嬉しくて。

僕はチョーカーを撫でながら、噛み締めていると
不意に僕の頭に、何かが乗っかった。


ソレがAさんの手だと気付くのに、随分時間が掛かってしまった。

だって普通なら、身体が勝手に反応して触れる前に身体が強ばって震え始めるのに。
……昔の事を思い出してしまうのに。


Aさんの手は、まるで何もしないって。

痛い事も苦しい事もしないってまるで知っていたかのように、僕自身が無意識の内に受け入れていたから。



「…?……??」

「そんなに大切にしてもらえて嬉しいよ。

……って、あげた人はきっと思ってるよ」



ぽんぽん、と。あたたかい手が僕の頭を撫でる。
Aさんは何故か嬉しそうに笑っていて、僕はその反応も含めて不思議でならなかった。

その笑顔が。その仕草が。彼の全てが。
見た事ないはずなのに、脳裏の奥の奥で覚えている(・・・・・)気がしてならないのが、不思議でならなかった。

*→←首元【レムナン】



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*IJu*(プロフ) - ハムエッグさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けているようで嬉しいです(ㅅ´꒳` )これからも更新がんばります〜! (2月7日 0時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
ハムエッグ(プロフ) - この作品好きすぎて一気見しちゃいました.....!! (2月6日 16時) (レス) @page26 id: e9b251311b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2023年12月17日 0時

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