首元【レムナン】 ページ12
・前作『チョーカー』の続編
−−−
「わっ、び、ビックリした……」
「おわっ!?レムナン?!」
就寝前。誰も居ないのを確認してからシャワーを浴び、脱衣所に戻るとそこには服を脱ぎ掛けたAさんが立っていた。
まさかこんな時間に人がいるとは思わなかったから、驚いてしまった。Aさんも同じ気持ちだったのか、目を見張って一瞬動きが固まってました。
「い……今から、浴びるんですか?」
「あー、うん。人あんま来ないからね」
「そ…そう、ですか……」
「レムナンは浴びたの?……って、見りゃ分かるか」
別に話さなくてもいいとは思いました。
でも……話さないと、その……気まずいから……
だから何とか話し掛けたら、彼は言葉を返してくれた。でも僕は途中から別の事が気になって、その返事が聞けたかは曖昧だった。
……彼の、首元。
普段はスカーフで隠れていた、そこに。
横一線に引かれた、一際色濃い肌の線。
まるで細長いロープか何かでキツく縛られた痕のような……い、所謂……索条痕……みたいな……そんな、感じ。
ソレが彼の首元に、ハッキリ刻まれていて。僕は思わず凝視してしまっていた。
「……あれ?どした、レムナン?」
「えっ?あ、えっと……えぇっと…………」
ふと名前を呼ばれ我に返ると、Aさんはいつの間にか思っていたより近くにいた。
僕の顔を覗き込むので驚いて思わず半歩身を引いたら、彼は「あ、わり」と素直に身を引いてくれた。
そうして再び尋ねられたけれど、正直に言うのは、その……失礼、ですよね……きっとそう、だから。
どう誤魔化そうか考えていたら、ふと彼は自分の首元を撫でながら「あぁ、」と目を細めた。
「……もしかして、気になった?コレ?」
「っ……」
まるで心を見透かされたようで、僕は思わず肩を震わせた。恐る恐る顔色を伺うと……怒っては、ない……?寧ろ、何だか懐かしそうな顔をしていて。
僕は小さく頷くと、Aさんはクスッと笑った。
「Aさん、は……明るくて、前向きで……元気で……だから、まさかと思って……つい……」
「あー、コレ別にそーゆーのじゃないから安心して?
寧ろ、俺にとっては大事なモンなんだ」
「……?」
そう言ってAさんは、また首元のソレを撫でる。
今度はまるで恋人の頬を撫でるような。愛おしいものに触れているような、そんな手付きで。
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*IJu*(プロフ) - ハムエッグさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けているようで嬉しいです(ㅅ´꒳` )これからも更新がんばります〜! (2月7日 0時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
ハムエッグ(プロフ) - この作品好きすぎて一気見しちゃいました.....!! (2月6日 16時) (レス) @page26 id: e9b251311b (このIDを非表示/違反報告)
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