【イナギャラ】多情ムジョウ異常4【皆帆和人】 (ページ4)

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シュザイページ4

次の日。平日なので学校があり、皆帆はいつも通りの時間にいつも通りの道で登校する。

そうしてほぼいつも通りの時間にいつも通り学校に着いたのだが、玄関前で珍しい光景が目に入った。

「(あれは、春梨さんと……？)」

なんとAが自分以外の人と話しているではないか。

『高嶺の花』と勝手に周りから距離を取られているはずの彼女が、だ。

皆帆は思わず驚いてしまったが、よくよくその相手の人を見遣る。

その人物は自分と同じ制服を来た男子生徒で、何やら熱心に彼女に話し掛けていた。

彼の事を皆帆は知っていた。
確か新聞部の部長…だったはず。

となると取材されているのだろうか…？
前に自分と彼女の関係についてある事ない事スクープされていたし、最近の天河原中の噂話は専らそればかり。
今記事にすれば注目されること間違いなしだろう。

しかしAはと言うと、苦笑いを浮かべながらたじたじになっているようだった。

片手を振って何か否定するような事を伝える仕草も見て取れたが、それでも相手は何かを頼み込んでいる様子。

それで彼女が折れたのか、とうとう小さく頷くと、相手は「本当ですか！？」と皆帆にも聞こえるような大声でそう言って、彼女にペコペコと頭を下げると足早にその場を去って行った。

……皆帆は嫌な予感がした。

どうか外れていますように、と内心願いながら皆帆はAに近寄り、声を掛けた。

「やあ、春梨先輩。おはよう」

「あ、皆帆くん……おはよう」

「さっき誰かと話していたみたいだけれど……誰だったの？」

「あぁ、あの人は、えぇっと……新聞部の人で。
今日の放課後、取材させて欲しいって……」

しかし、皆帆の予想は当たってしまっていた。

Aは困った様な顔をしながら先程の人が行った方を見遣り、溜息を吐く。

彼女自身もあまり気乗りはしないようだ。

「取材って……何の？」

「えっ、と……私と、皆帆くんの関係？について……だったかしら？付き合ってるのかって言われたから……『してない』って答えたんだけれど。
でもこの間、お手紙渡してたって言われちゃって……何だか皆に誤解されてるみたいね……」

「ごめんなさい」とAは縮こまって皆帆に謝った。

別に彼女は何もしていないのに。
周りが勝手に誤解して騒いでいるだけなのに。