【イナギャラ】多情ムジョウ異常4【皆帆和人】 (ページ2)

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カイサンページ2

「あら、もうこんな時間」

ふとAは時計を見遣る。
このカフェに来てから優に2時間は過ぎていた。

随分と話し込んでいたらしい。こんなに時間を忘れるとは思わず、皆帆も神童も時計を見て少し驚いた顔をしていた。

「そろそろ出ようか。人も多くなって来たし」

「そうだな、そうしよう」

「そ、そうね……」

これ以上の滞在は店にも迷惑が掛かると思い、3人は会計を済ませて店の外へ。

途中、Aは分かりやすく肩を落として残念そうな顔をしていた。

「じゃあ、俺はこのまま帰るよ」

「そっか。久しぶりに会えて良かったよ。またね、神童くん」

「あぁ、またな皆帆。
……Aはどうする？」

「へっ？」

挨拶もそこそこに解散の流れとなり、神童はおもむろにAに尋ねた。

「Aも帰るなら途中まで送って行くが」と手を差し伸べながら続けると、Aは何故かオロオロしながら皆帆と神童を交互に見遣る。

その表情は何か言いたげだった。

皆帆には何となく言いたい事が分かった。
きっと彼女はまだ帰りたくないのだろう。

皆帆は苦笑いを浮かべると、彼女の代わりに口にしようとしたが、それを他ならぬ彼女が遮った。

「わっ、私は、もう少し皆帆くんとお手紙……じゃない！遊びたいわ！」

そう宣言しながら、彼女は皆帆の腕を掴む。
急に腕を掴まれた皆帆は驚いて目を丸く見張った。

思いの外、声が出たのと『お手紙』が少し気になった神童は呆気に取られ、目を瞬かせていたが、やがて「そうか」と微笑むと、神童は視線を皆帆に移し目を細めた。

「じゃあ、代わりにAをよろしくな、皆帆」

「へっ？あ、あぁ……うん、分かったよ」

そう告げる神童はどこか安心したような表情を浮かべていた。

神童の言葉に皆帆は戸惑いながらも頷くと、彼は「またな」と手を振ってその場を後にした。