話したくない ページ44
「そ……それより！いい加減離してくれない？アタシ店戻らなくちゃいけないの」
黙りしていた彼女だったが、ふと思い出したかのようにそう言って顔を上げる。
じっと豪炎寺を見遣り、腕を離すのを待っていたが、豪炎寺は少しの間、何やら考えるように黙り、そうして再び口を開いた。
「……なら、教えてくれ。
どうして夕香の病室に来たんだ？」
「…………」
その問いにAはまた口を閉ざした。
視線を逸らし、微かに眉を顰める。
豪炎寺の眉間に再び皺が寄る。
彼女の腕を掴む手に自然と力が込められ、Aはそれに気付くとそっと顔を上げた。
「…………話したくない」
「……」
「……もう金輪際、来ないから。それでいいでしょ」
彼女らしくない、しおらしい態度で。
まるで叱られた後の子供のようにそう呟く。
あんまりにも普段とは違う彼女の変わり様に豪炎寺は何故だか自分が悪い事をしているような気分になった。
思わず掴む手の力を緩めると、彼女はすぐ豪炎寺の手を振り払う。そのまま踵を返し、足早にその場を後にした。
残された豪炎寺は呼び止めようとも思ったが、どう声を掛ければいいかわからず。半歩踏み込んだはいいものの、それだけで彼女の背中をただ見送る事しか出来なかった。
「(……彼女の目的は、なんだ？)」
妹の知り合いと思ったが、少なくとも自分は知らない。妹が何処かで知り合って仲良くなった、とかなら別だが、それならば正直に話してくれるだろう。
ならば何故、話してくれないのか？
……それだけ何か後ろめたいモノがあるのだろうか。
「……」
豪炎寺はおもむろに妹の病室の中へ足を踏み入れる。
清潔なベットの上には、いつものように眠ったままの夕香が。そのすぐ傍にあるミニテーブルの上には、Aが今し方くれたプリザーブドフラワー。
見た所、怪しいと思える所はない、
綺麗な花がガラス瓶の中に入っているだけで、特に変わった所はないようだった。
「(純粋な見舞い……なのだろうか？)」
持ち上げて一通り眺めてから、豪炎寺はソレを元の場所に戻した。
ふと、視線を眠っている少女の方に向ける。
少女は未だに眠ったままで、起きる気配は無さそうだった。
「(…………それとも、)」
何か心当たりがあるのだろうか。
豪炎寺の表情が一瞬だけ険しくなった。
しかしその考えを豪炎寺は振り払う。
「まさか、」と一笑し妹に向き直ると、いつも通り彼女に話し掛け始めた。
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真昼 - 久しぶりに見て見ました。更新されていて、嬉しかったです\(//∇//)\ (2023年1月15日 0時) (
レス) @page34 id: 3174c03de1 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 真昼さん» コメントありがとうございます！いずれ絡ませたいとは思っていますが、いつになるのかはごめんなさい、作者も分かりません……基本無計画なので(殴)更新も遅いですが、でもゆっくりでも頑張りますー！ (2022年10月10日 16時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 更新頑張ってください (2022年10月10日 14時) (レス) @page17 id: e325fc5c3e (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 帝国キャラと女主が関わってほしいです。 (2022年10月10日 14時) (レス) @page17 id: e325fc5c3e (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - ちゃんちゃんさん» コメントありがとうございます！恐縮です…それだけ楽しんで頂けているようで作者、感無量です…！！ありがとうございます！ (2022年9月20日 0時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
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