△リボンが338こ▽ ページ47
「…ところでまなべ、眠いの?」
「……へっ?」
今度はギューっと、苦しく感じるぐらいに抱き締められ、でも真名部は振りほどこうとせずただ受けていると、ふとAは思い出したかのようにそう言って真名部から離れ、首を傾げた。
一瞬、何の話かと思ったが、その疑問に答えるように「だってまなべ、眠いからイライラしてたんでしょ?」と続け、真名部は自分の言った事を思い出す。
『最近、あまり眠れていない』と確かに真名部は言った。『そのせいでイライラする』とも言った。
勿論、ソレはデタラメだ。
適当にそれっぽく言ったに過ぎない。
しかし、単純な彼女はソレを信じてしまったらしい。
否定しようともしたが、しかしそうなると何故イライラしていたのかまた追求されそうで。
仕方なく真名部は頷くと、Aは案の定「じゃあお昼寝しなきゃ!」と言い出して、真名部をソファに誘導すべく彼の腕を引っ張った。
「あ…あの……」
「眠い時は寝なきゃダメだよ、まなべ!
ほら!こっち来て!私が寝かせてあげる!」
「……はい……」
最初はそれでも抗ったものの、自分より腕力の強い彼女に引っ張られ、真名部が反論する間もなく、ソファに寝かされ、毛布を掛けられた。
そうしてまるで幼児でも寝かし付けるかのように、ぽんぽんと真名部のお腹を手で撫でながら、「羊が1匹〜、羊が2匹〜……」と数え始めてしまう。
この一連の流れに真名部は何処かデジャヴを感じながらも、諦めて目を閉じる。
早朝、Aが目覚めるよりも早くに目覚めたからだろうか。
まだ寝足りなかったのかもしれない。
自分の考えとは裏腹に何処か心地好く、すぐ彼女の声が遠のいて行った。
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