△リボンが334こ▽ ページ43
「___まなべ!」
不意にAに呼ばれて真名部は我に返った。
咄嗟に声のした方を見ると、そこにはむくれたような顔をしたAがジトッと真名部を見遣っていた。
その手には先程まで熱心に取り組んでいたドリル。
おそらく真名部が指定したページを解き終えたのだろう。
「まなべったら〜〜!何回も呼んだのにお返事しないで!ずーーっとテレビ見てた!!」
どうやら真名部は考え事に夢中でAの呼び掛けが聞こえていなかったようだ。
道理で大きな声で呼ばれたと思ったら。
Aの頬がプクッと膨らむ。
真名部は苦笑いを浮かべながら「すみません」と彼女の頭を撫でると、風船のように彼女の頬は萎み、あっという間にご機嫌は取り戻した。
「て…テレビがなかなか興味深くて……つい」
「まなべ、テレビ好きだね〜!毎日見てるもん!」
「(好きで見たいわけではないんですけれどね…)」
真名部がテレビを見るのはニュースを見る為。
そこで自分達の事件について進展があったかどうか。
どこまで調べがついて、どこまで知っているのか。ソレを確かめる為である。
しかしAはそんな事など露知らず
まるで他人事のようにそう言って笑う。
そんな彼女に真名部は『このままでいいものか』と本気で考えそうになる。
でも考える前に眼前にドリルが突きつけられ、真名部の司会はボヤけた数式でいっぱいになった。
「それよりまなべ!このページの問題、全部できたよ!丸つけして!褒めて褒めて!」
「わ、わかりました、わかりましたから…!押し付けないで下さい…!」
グイグイ顔にドリルを押し付けられ、真名部は1度彼女にやめるよう言うと、素直に彼女はやめてドリルを机の上に置いた。
そうして真名部に差し出すと、真名部はソレを受け取り、学校の先生のように赤いボールペンで丸つけを始めた。
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