リボンの檻 7 【真名部陣一郎】 (ページ40)

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△リボンが331こ▽ ページ40

「…？まなべ、この真っ黒いヤツなぁに？」

「……卵です」

真名部の予定通り、彼女がシャワーから上がった丁度そのタイミングで朝食の準備が出来上がる。
しかし彼女はまた髪の毛をまともに拭いて来ず、ビチャビチャのままだったので、昨日のように一旦髪の毛を拭いて、すぐ朝食となった。

焦げた卵は捨ててしまおうとも考えたが、勿体ない精神が働き、焦げた所のほとんどは自分の分のサンドイッチの中に挟んだ。

Aの分にはなるべく焦げた所は入れないでおいたが、焦げた範囲が広かったのでそれでも少しは彼女の分にも含まれてしまったようだ。

Aはサンドイッチを持ち上げ、上のパンを捲って中身を覗いていたが、気が済むとサンドイッチにかぶり付き、子供のように目を輝かせた。

どうやら味はお気に召した様子。
真名部はその様子に口元を綻ばせ、自分の分も1口齧った。

「……うっ……」

「…？どうしたの、まなべ？」

「い、いえ……あ、あまりの美味しさに唸ってしまっただけです……」

「そーだよね！コレ美味しいよね！」

焦げた卵の感触と味に真名部は途端に顔を顰める。

Aはすぐ真名部の異変に気付いたが、同じ物を食べていると思っている彼女は真名部の言葉を信じてニッコリ微笑んだ。

覚悟はしていたが、やはり正直言って美味しくはない……しかし彼女にそう言った手前、残すのは不自然だし、何より勿体ないのでなるべく含味しないよう努めた。

「そう言えばまなべ、今日はどーするの？」

「へっ…？」

「だって折角早起きしたんだもん！
何かしたいなって思わない？」

不意な彼女の質問に真名部はキョトンと目を見張る。

対して彼女は何処か楽しそうな顔をして続けた。

「例えば〜、お勉強したり〜、一緒に遊んだり〜、お外で遊んだり！

特にね！最近お外に出てないからね！久しぶりにまなべと一緒に……」

「っ……ダメですっ！！」

思わず真名部は彼女の言葉を遮って、叫んだ。

乱暴に椅子から立ち上がったが故に真名部が座っていた椅子はバランスを崩して倒れ、Aはﾋﾞｸｯと肩を震わせて真名部を見遣った。