リボンの檻 7 【真名部陣一郎】 (ページ23)

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△リボンが314こ▽ ページ23

「まなべー、そのままでも乾くから大丈夫だよー？」

「ダメです！このままでは風邪を引いてしまいます…！女の子がいつまでもビショ濡れなのはいただけません」

「えー」

ソファの上で膝を抱え、Aはブーブーと文句を呟く。
そんな彼女の頭の上で溜息を吐きながら、真名部はまだ濡れていないバスタオルでまずは毛先から拭く事にした。

髪の毛を包み、ｷﾞｭｯと握ると、握った掌周辺が濡れて行くのを感じた。
少しずつ位置をズラしながら、髪の毛の水分を搾るように握る行為を繰り返すと、あっという間にバスタオルはぐっしょりと濡れてしまった。

でもお陰で水が滴らない程度にはなった。
真名部はもう1枚、小さめのタオルを持って来ると、今度はソレをAの頭の上に被せた。

「わっ…！」

Aの頭にタオルを被せると、一瞬Aは肩を竦めた。
ずっと下を向いていた顔を上げ、真名部を見上げる。
その時に真名部と目が合うと、Aはにこりと微笑んだ。

瞬間、真名部の心臓が飛び跳ねたのは言うまでもない。

「っ……し、下を、向いていてくれますか？」

「えー…まだ終わってないのー？」

「終わってないです！ほら、下を向いて！」

「はぁい…」

まだ終わってない事にAは口を尖らせるも、素直に従い、再び彼女は顔を落とす。

真名部は何処かﾎｯとすると、頭に被せたバスタオルの上に指を乗せて、そのまま恐る恐ると言った力加減で動かした。

「い、痛かったら遠慮なく言って下さいね」

「うん！」

「…痛く、ないですか？」

「うん！大丈夫だよ、まなべ！」

「そ、そうですか……？」

何分、こういうのには慣れていない真名部。
しかも相手は痛みに慣れ過ぎてしまった彼女だ。
自分の力加減が本当に痛くないのか、大丈夫なのか心配になってしまう。

しかし実際の所は寧ろ弱過ぎるくらいだ。
彼女を気遣うあまり指に力が入らないのだろう。

Aは時々擽ったようにクスクス笑っていた。

「ふふっ、ふふふっ……ふわふわして擽ったい」

「ふ、ふわふわ…？弱い、ですか？」

「んーん！私は好きだよ、これ！」

「(好き嫌いの問題じゃないのですが……)」