リボンの檻 7 【真名部陣一郎】 (ページ14)

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▲リボンが305こ▼ ページ14

その日もいつも通り、ママから命令されてお昼ご飯を作っていたの。

とは言っても簡単な物だよ。
だって袋詰めにされた野菜を炒めるだけだもの。
私、包丁は使えなかったけれど、フライパンは使えたんだ。

それでね、野菜を炒めてたらね
ママがﾌﾗｯとキッチンに入って来たの。
普段はイライラしながらリビングで待ってるくせに。

怖かった。何をするかわからないから。
ママは例え私が何もしなくても、気分で私に手を出すような人だから。キッチンには沢山、殴ったり刺したり出来る物があるから。

また痛い事されるのかなって思ったの。

ママはゴミを見るような目で私を見下ろしてから、言ったの。

『お前の髪を見てるとイライラする』

……私、髪の毛伸ばしっぱなしでしょ？
実はコレ、伸ばしてたの。

だって私の髪の毛の色、パパと同じだったから。
だからね、切るの勿体なく思って。

でも、ママは許してくれなかった。

急に私の髪の毛を乱暴に掴んで、いつの間にか持ってたハサミでバッサリ切ったの。
そう、バッサリ。そのせいで右側だけ短くなっちゃったの。

私、ショックだった。
ただ髪の毛を切られただけで、痛くも苦しくもないはずなのに。すごくすごく悲しかった。
やっぱり、パパと唯一のお揃いだったからかな。

その瞬間に、私の中で何かが『ぷつん』って切れる音がしたの。

そのまま左側も切られそうになったけど
私は野菜を炒めてたフライパンを持って、ママ目掛けて思いっ切り振ったの。

そんな事するの初めてだった。
ママに抵抗するのも、ママを傷付けるのも。
鈍い音がして、フライパンはママの頭に当たって、ママは倒れた。

そこまでなら良かったの。
ママが倒れて、そのまま大人しくなって。
これで髪は切られずに済んだんだって思って安心した。

でも可笑しいの。ママ、それから全然起きてくれなくて。頭から赤い液体を出したまま、動かなくなっちゃったの。

私、初めは気絶してるだけだと思ってた。
そんな事よりキッチンを散らかしちゃったから、起きた時怒られると思って、キッチンの片付けを優先したの。

でもママね、片付けた後も夜になっても次の日になっても全くそこから動かなかったの。

そこで私はようやく気付いた。

＿＿＿＿ママを殺してしまったんだって。