【イナイレ】シッカーラプンツェル11【不動明王】 (ページ48)

今日:20 hit、昨日:1 hit、合計:10,954 hit

◇ラプンツェルの限界ページ48

「どうだ…？そっちは見つかったか？」

一通り園内を探して、1度トビタカと合流すると、トビタカは肩で息をしながら私に尋ねた。

その口振りからトビタカの方は見つからなかったんだろう。でも息が切れるまで探してくれてたんだ。
そう考えると申し訳なく感じた。

でも残念ながら、こっちでも見つからなかった。
私は呼吸をするので精一杯で、ゼェゼェと荒い息継ぎを繰り返しながら首を横に振ると、トビタカは苦い顔をした。

どうしよう……園内は隅々まで探したはずだけど、どこにもなかった。一体何処で落としたんだろう……？
やっぱり遊園地の外……なのかな？そうなったら何処まで探せばいいの？

そう考えたら、果てしなく感じた。
遂に私は堰き止めていた涙を流してしまい、トビタカをまた困らせてしまう。

諦めた方が、いいのかな……でも、諦めきれないよ。

だってあの御守り、折角……折角もらったのに。
何より中に大切な物が入ってる。
それが無くなっちゃうのはイヤだ。

考えれば考える程、涙もﾎﾟﾛﾎﾟﾛと流れ出る。
もう止める事を諦めて、私は声を殺して泣いてしまうと、トビタカは私の肩に手を置いた。

「だ……大丈夫だ、黒井！絶対見つかる…！見つけるから！

とりあえず……また忘れ物が届いてないか聞いてみよう！な？結構時間経ってるし……もしかしたら、届いてるかもしれないから！」

「うぅ……」

諦めそうになった私に、トビタカはそう訴えかけてくれた。そのおかげで少し希望が見えた私は、涙を腕で拭って頷く。

そのまま私達はまたキャストの人に御守りの事を聞こうと思い、走り出す。

「………っ？！」

でも次の瞬間、私の足がｶｸﾝｯと崩れて、私は転んでしまった。

トビタカは先に進んでいたのに気付いて戻って来てくれて、「大丈夫か？」と私に手を差し出した。

私は「だいじょぶ……」とその手を掴むと、立ち上がろうとした。

でも膝に力が入らなかった。
ｶﾞｸｶﾞｸと震えてしまって、立てなくて。
まるで産まれたての小鹿みたい。

なんで、どうしてって思ったけれど
ふと、脳裏に先生の言葉が響いた。

『疲労が溜まっている状態での運動は怪我をし易いですし、最悪立つ事すら困難になります。

また病院生活に逆戻りすることになりますよ』

「(ま……まさか……)」

……多分、この時の私の足は限界だったんだと思う。