【イナイレ】シッカーラプンツェル11【不動明王】 (ページ20)

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◇ラプンツェルとミドリカワページ20

「はい、ミドリカワ！お疲れ様！」

「…！」

なるべく自然に、いつも通りに。
私はミドリカワに声を掛けると、沈んでいた表情をしていたミドリカワはﾊﾟｯと顔を上げた。

「ありがとう」と私からドリンクとタオルを受け取ると、ドリンクを飲み始める。
タオルを肩に掛け、額から流れる汗を拭っていた所で、まだ私がいる事に気付くと「なぁに？」とミドリカワは首を傾げた。

「ヒロトじゃなく、この俺に何か用かな？」

「あの……あの、あのね！
その……あ、焦らなくて、いいからね！」

「………うん？」

声を掛けたのはいいけれど、その後の事は全く考えていなくって。
励ましたい気持ちはあったから、色々頭の中で考えて考えて。結果、急にそんな言葉を掛けてしまった。

これにはミドリカワも困惑顔。
私は慌てて訂正する。

「えぇっと、えと……！な、なんかね！
ミドリカワ、焦ってるって言うか……落ち込んでる、って言うか……そのせいで空回ってるような気がしてって言うか……」

「……」

「あ、えっと……ち、違ってたらごめんね？
だ、ただ私はそう見えちゃった、って言うか……
ミドリカワは頑張り屋さんだし、影で皆よりいっぱい努力してるのはわかってるから…！

でもでも！あんまり頑張り過ぎるのもダメだから…！
だから、えぇっと……！」

私なりに色々考えて、ミドリカワに話してみるけれど
途中から自分でも何言ってるのかわかんなくなって来ちゃった。

どうして私はこう、話したい事を頭の中で上手く纏められないんだろう……

でもミドリカワには伝わったのか。
やっぱりそうでもないのか。

神妙な表情で視線を落とした後
「……よく見てるね」なんて言われて、今度は私が困惑してしまう。

「Aちゃんって、子供っぽいのにそういう所はちゃんと見てるんだね。もうドジっ子ちゃんなんて呼べないなぁ」

「へっ…？」

「うん、俺、正直焦ってた。今も焦ってる。
でも何事もやり過ぎはダメだよね。
そのせいで俺、1回倒れてるし」

再び顔を上げるとミドリカワは苦笑いを浮かべながらそう言って肩を竦めた。

カタール戦の時を思い出してしまい、私はスカートの裾を握り締める。
あの試合は……怖かったから。