世界征服～僕らのサーカス～【イナGO】VS SSC編第陸幕 (ページ8)

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潜水艦トロイメライ 705 ページ8

Aと一緒にサーカスの方に戻った後、僕は何故かテントの掃除をさせられていた。

そのテントがさ、すっごく広いんだよね。
この中で曲芸をやるみたいなんだけどさ。
何百人も人が入りそうな広さ、大きさで終わりが見えそうにないよ。

200年前の過去の世界だって言うのに、全くすごいよ《イドラのサーカス》は。

まぁ、別に1人でやってるってワケじゃない。
一部のサーカスの団員とワンダバも一緒。

特にワンダバは張り切っちゃってさ。
真っ赤になりながらキャラバンを掃除する時みたいに床を磨いてた。

「ほらほらほら！ちゃちゃっと掃除終わらせちゃって！本番、明日からなんでしょ？さぁ、磨いた磨いた！」

現在、この時代のAがいなくなってしまったので
代役としてもう1人のAが団長代わりとして団員に指示を出す。

最初はいくらAとは言えど、別の時代のAは受け入れられないと思ってたけれど、案外そんな事はなく。
意外にもすんなりと受け入れられて、団員達は彼女の指示に忠実に従っていた。

「そう言うお前も働いたらどうなんだ？」

「絶賛働いてるよ、瞬木。
ほら、こうやって、ちりとり持って皆が埃を集めて来るのを待っているじゃない」

「……おい、誰だアイツにちりとり持たせたヤツ」

「〝創った〟んじゃない？」

「ヤダなぁ、皆帆。そんなズルするわけないじゃん」

ちりとりに片足を置き、テントの中心で悪戯っ子のように笑うA。

そんな彼女を横目に『やれやれ』と言った様子で掃除を続けている辺り、いつも通りの光景なのだろう。
瞬木くんもあの後(眉間に皺を寄せてはいたけれども)何も言わないで掃除を再開させていたし。

僕も思わず苦笑いを浮かべながら、観客席の掃除を続ける。
ここ暫くはそんな感じで、程々にふざけながらも何事もなく作業は進んでいた。

「＿＿＿＿失礼するよ」

そんな時だ。

不意に、来客が訪れたのは。

「…！」

「誰？」

「ちょっと～！まだ掃除中なんですけど～！」

「つーか、まだ開演もしてねーし」

途端に皆の視線がその来客に注がれ
一部は怪訝な顔をして睨むように客人を見遣る。

だが対してその人は特に気にしていないのか。
口元に浮かべた微笑みを崩す事なく
そして、掃除中にも関わらずテント内に足を踏み入れた。