辻 741 ページ44
「……ところで、この館には他には誰かいるのか？」
ふと気になって俺は瞬木に尋ねる。
瞬木の話ではこっちの世界の団員達はSSCに人質に取られているらしいから……
そうなると、この館にいるのは瞬と雄太と優一さんだけ……なのか？
いや、でも優一さんはAと一緒に俺達の世界に来たん……だよな？
多分、あの優一さんは�猗薪樟こΝ瓩陵グ譴気鵑世蹐Δ�ら。
だとしたら優一さんはいない…か。
それに倉間もどうなのか気になる。
俺と倉間は《イドラのサーカス》の一員となったわけだし。
俺達の世界と同じように時を刻んでいるのなら、倉間もこの館にいるはず。
………待てよ？そうなると、俺もいる事になるのか？
こっちの世界にも俺は恐らくいるだろうし。
Aも俺を知っているようだったから。
俺がいても可笑しくはない。
でもそうなると正直複雑だ……
違う世界の自分と会うだなんて。
会いたくないってワケではないけれど……
ここは何かしらが�猗薪将瓩靴神こΔ世掘�一体どうなっているのか知るのが怖いような、でも知りたいような……
「ああ、今は瞬と雄太だけだよ」
「……えっ？」
俺の質問に瞬木はさらっとそう答えたが
俺はその返答に目を丸く見張る。
優一さんがいないのはまだわかるが……
俺と倉間がいないのはどうしてだ？
「く……倉間は？倉間はどうしていないんだ？」
「倉間？倉間は霧野……あー、この場合、こっちの世界の霧野ね？
アイツがSARUに連れ去られる時、一緒にいたみたいでさ。同じく連れてかれちゃって」
「お…俺が連れ去られる…？」
「そうそう。こっちだとあのSARUってヤツはまず霧野を持ってったんだ。要は団長を操る為の人質でしょ。
多分、そっちの世界でもソレやろうとしたんじゃないかな？」
「だから俺はお前を先に迎えに行った」
瞬木の話に俺は唖然としていると
不意にザナークが話に割り込んで来た。
ザナークは雄太と瞬に腰布を掴まれ、2人を引き連れながらこちらに歩み寄る。
どうやら2人に捕まったようだ。
2人は何処か楽しそうだが、対してザナークも相手をするのが面倒なのか、まるで見えていないかのように言葉を続けた。
「SARUとか言う奴の目的はお前だ。
だから俺様はあの女に頼まれて、お前を迎えに行ってやったってワケだ」
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