世界征服～僕らのサーカス～【イナGO】VS SSC編第陸幕 (ページ35)

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かなしみのなみにおぼれる 732 ページ35

俺は何にも言えなかった。
声が出せなかった。

喉を潰されたんじゃないかって思った。

でもすぐに彼女は眼光を緩め、再び口元に笑顔を張り付ける。
ああ、そうだ。サーカスの時に浮かべる張り付け笑顔(営業スマイル)。

ハッキリ言って不気味だった。

「………そう。まぁ、いいよ？

じゃあ、今話して」

「………………は？」

珍しい雰囲気の彼女に怯んだも一変
一瞬にしていつもの態度に戻ってしまい、俺は思わず眉を顰めた。

「……話聞いてたか？あとで(・・・)っつったんだよ」

「いやぁ、私も瞬木とは2人きりでお話したい所なんだけどさぁ……ソレやっちゃうと面倒〜な男が私の隣にいるんだよねェ」

「…もう少し隠そうとしたらどうなの？」

Aは棘のある言い方でｼﾞﾛﾘと横目で隣の白い頭の男を見遣る。

対してその男もAの言い方が気に食わないのか、拗ねた顔をしてAを見遣った後、おもむろに視線を俺にズラした。

そうして、何処か圧を感じる眼差しを向ける。

だがこの圧は……知っている。
何故だか、Aと話しているのを邪魔した時の真名部の眼差しと同じようなモノを感じた。

「…………」

「まぁ…そうだよねぇ。知らない人が隣にいる状態で2人にならないと話せない話なんてしたくないよねぇ……

あ、ならこうするのはどう？
あっちの端っこで私と2人で話すの」

思わず俺も白い野郎を睨みつけていると
ふとAはそう言いながらテントの端っこを指差した。

すると白い野郎の眉間にシワが寄る。
だが反対はしないらしい。
Aが「いいでしょ？」と振り返って尋ねたら
ヤツは渋々と言った様子で頷いた。

「瞬木もそれでいい？」

「……」

「OK、その黙りは了承だね！
はい、じゃあ隅っこにしゅーごー！」

何にも俺は返事してないが、勝手に解釈され、勝手に彼女に肩を掴まれて、勝手に押されて隅っこに追いやられた。

こういう強引な所は俺の知ってるあのチビと変わらないが……

他の方は一体どうだろうか。