辻 711 ページ14
「ほら、着いたぜ」
不意にザナークは俺に声を掛け、言われてそっと俺は目を開ける。
本当に馬より速かった……
その予想外のスピードにまともに目を開けられなくて、虹色のトンネルのような場所を通っている間はずっと目を瞑っていた。
瞼を上げで目に入った光景に、俺は目を瞬かせる。
一瞬、からかわれているのかと思った。
だって、目の前に広がる光景は
俺がフィフスセクターにいた時代に住んでいた商店街『レヴォッシュロード』だったのだから。
「……馬鹿にしてるのか？」
「お前の知ってる街だったか？
まぁ、見てくれはもしかしたら瓜二つかもしれねぇが……
正真正銘、お前のいた時代とは違う次元の街だよ」
「……」
ああ、コイツも小難しい話をするのか。
どう見ても俺の知っている街なのに�牋磴�次元�瓩箸�言い出して。
まぁ、つまり此処は『パラレルワールド』って事だろう。多分。
そう自分を納得させて、俺は黙り込む。
俺達の乗る乗り物は『レヴォッシュロード』の頭上を尚も飛来している。
下は俺の所と変わらず、沢山の人で賑わっていた。
その群れる様がまるでアリのように思えた。
上を見られたら不審に思われそうだが……
案外、上を見る人はいないようだ。
まぁ、自分も普段頭上を見上げる人ではないし
まさか人が動力である馬に頼らないタイプの乗り物に乗って、しかも浮いているだなんて考えもしないだろう。
「……因みに、この…次元？は何が違うんだ？」
「あン？」
「パラレルワールドって事は、俺の住んでいる世界とは何かが違うんだろう？此処は何が違うんだ？」
何処を目指しているかわからないが、そんな事よりふとした疑問を先にザナークに投げ掛けた。
此処がパラレルワールドと言うのなら、当然俺の住んでいる所とは何かが違うはずだ。
実際、俺が最初にいたパラレルワールドは『イドラが能力を持たない世界』
その後も『イナズマカーニバルの存在しない世界』に着地してしまい、それらを元に戻して今に至る。
フェイが言うには『パラレルワールド』とは�爐發靴發寮こΝ瓩噺世Δ蕕靴い掘△修Δ世箸垢譴舒貘硫燭�違うんだろう。
出来れば平和だといいのだが。
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