▼ハイエナの誓い ページ17
A「つーか、ずっと好き好きばっかり言って……なんかそれっぽいセリフ考えてたんじゃないの？」
皆帆「Aは遠回しの言葉じゃ伝わらないだろうなって思って。ストレートに気持ちをぶつけてみたんだ。
あとあんまり甘過ぎるのもA、苦手そうだなって思って」
A「……別に、和人からなら……構わなかったんだけど……」
寧ろ、大歓迎なんだけど。
ちゃんと聞ける自信はないけれど。
最後の一言は小声だったから
和人も聞き取れなかったのか、不思議そうに私を見遣る。
その事を追求される前に私は咄嗟に「私もっ！」と声を上げてしまい、私は和人から目をそらすと呟くように告げた。
A「……私も、和人の事……その………すき………だよ」
皆帆「……A、もう1回言って。
よく聞き取れなくって……」
A「だっ……だからぁ！
………私も、大好き………だよ、って……」
皆帆「もう1回、今度は僕の目を見て言ってよ。
最近、耳の聞こえが悪くって……」
A「っ……お前、その顔はちゃんと聞こえてるだろっ……！！」
こっちはお前なんかと違って正直に気持ちを伝えるのにも苦労するってのに。
何度も何度も言わせようとしやがって。
嬉しそうにニヤニヤしてんじゃねぇ。
私は顔を真っ赤にしながら和人を睨むと
和人は「ごめんね」って肩を竦める。
でもふと和人も私から目をそらすと、ほんのり頬を赤らめて目を泳がせ始めた。
皆帆「え、えへへ……さ、さっきのAの気持ち、よく分かっちゃったな……
正面から『好き』って言われると……や、やっぱり恥ずかしいや……」
A「…………」
………なら最初からやるなっつーの。
ホントこいつ、いい加減だよな。
そんなんで照れるモンだから、こっちまで恥ずかしくなっちまって。
暫く気まずい空気が流れたが、不意にソレが面白く思えて私は吹き出す。
1人で笑ってたら和人は驚いた顔をしていたけれど
やがて彼も頬を綻ばせると、彼は私の手を握り直した。
皆帆「……僕、待ってるよ」
A「……ん」
皆帆「Aが戻って来るまで待ってる。
何年でも、何十年でも」
A「……うん」
皆帆「だから、絶対帰って来てね」
A「…うん」
和人の問いに私は頷く。
帰って来れるかもわからないってのにね。
でも私はもう逃げるのはやめたから。
隠れるのも、抵抗するのもやめにする。
だって私はもう、独りじゃないんだから。
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