イイナズケ ページ44
「いっ……い、許婚って……そ、それってつまり……こ、婚約者ァ？！」
混乱のあまり、声が裏返ってしまう。
それもそうだ。齢15の目の前の少女に将来を誓い合った人がいると誰が予想出来ようか。
あまりの驚きっぷりにAまでも一瞬その反応に驚き
ﾊｯとすると人差し指を口元に当てて「しーっ！」とジェスチャーで皆帆に伝えた。
咄嗟に皆帆は口を閉じて黙ると、Aは辺りをキョロキョロと見渡した。
幸い、自分達の周りには人がいなかったので今の話は聞かれていなかっただろう。
Aはその事を確認して胸を撫で下ろす。
皆帆は未だ困惑していたが、何とか落ち着きを取り戻して、恐る恐る彼女に尋ねた。
「……えぇっと、キミって……許婚が、いたんだね……」
「えぇ……とは言っても、親同士が勝手に決めた事なんだけれどね」
Aは先程と打って変わって、視線を落とし苦笑いを浮かべながら頷いた。
心做しか沈んだ彼女の表情は、諦めているようにも見えた。
「面白いわよね。昔から仲がいいってだけで勝手に結婚の約束されちゃってるんですもの。まるで大昔の王族みたい」
「…因みに、相手の人ってどんな人？」
「……別に、悪い人ではないの。寧ろ、とってもとっても良い人よ。優しくて、誠実で、真っ直ぐで……それにピアノも弾けるの。
でも……私の好みではないって言うか……
私の運命の人って感じの人ではなくって。
昔から一緒に遊んでるから、弟みたいに思っているし……急にそういう風にも見れなくて、ね」
「その…相手の人は、どう思ってるの？」
「私と同じよ。あの子も私の事、そういう風に見れないって。でも、お互い大人になったら婚約しなくちゃいけない。……絶対にね」
絶対、そう言った彼女の表情は目に見えて沈んでいた。
彼女は望んでいないのだろう。その人との婚約を。
でも親同士の決めた事に口出しは出来ないらしいかった。
掛ける言葉を失い、皆帆は口を噤む。
すると彼女は苦笑いを浮かべながら「ごめんなさいね」と何も悪くないのに謝られた。
「……私、この学校を卒業したら此処を離れるの」
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＊IJu＊(プロフ) - 偽薬さん» こんにちは！まさか偽薬さんからコメントを…！ありがとうございます！自分が書くとどうしても長編になってしまうので、短編が書ける偽薬さんが逆に羨ましいです…(笑)応援ありがとうございます！偽薬さんも自分のペースで作品作り頑張って下さい！ (2021年11月23日 1時) (
レス) @page43 id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
偽薬(プロフ) - こんにちは、偽薬です。地の文と会話文のテンポが良く、ストーリーの深め方も魅力的でした！ 長編書けるのとても羨ましいです……応援しています！ (2021年11月22日 23時) (レス) @page2 id: 21f878ceea (このIDを非表示/違反報告)
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