デアイ ページ4
「…はい？」
ふわり、肩ほどの緑がかった黒髪が揺れた。
ハンカチを落としたその少女は振り返ると不思議そうな顔をして皆帆を見遣る。
片目は前髪で隠れ気味。
その見える左目のすぐ下にはホクロが1つ。
濃い色の頭とは対照的な淡い桜色の瞳は眠そうに垂れ、今にも長い睫毛を携えた瞼が降りて眠ってしまいそう。
そんな彼女の片手には文庫本が1冊。
手作りらしいブックカバーが掛けられていて本の題名はわからなかったが、どうやらハンカチを落とした事に気付かなかった理由はコレらしい。
「このハンカチ、もしかしてキミの？」
目の前で落としたし、持ち主は彼女で間違いないはずだが、念の為皆帆は彼女に尋ねた。
すると彼女は皆帆の方に向き直り、視線をハンカチに落としてじっと見つめる。
そうして彼女は眠そうな顔のまま、ゆっくりと首を傾げると、少しの間を開けてからゆっくり頷いた。
「…ええ。これは私のハンカチよ。
もしかして、拾ってくれたの？」
「うん。落としたのが見えたからね」
やけにゆったりとした口調で、聞いていてこちらも眠くなってしまいそうな声だった。
皆帆は確認を取り、彼女にハンカチを差し出すと
彼女は何処か嬉しそうに目を細めながら、そのハンカチを受け取った。
大事そうに胸元に持って行き、ほんのりと頬を染める。
そうしてニコリと微笑むと「ありがとう」と礼を述べた。
「このハンカチ、とってもとっても大切な物だったの…返してくれて本当に本当にありがとう。
……良かったら、今度お礼をさせて頂戴」
「そんな、良いんだよ。当たり前の事をしただけだから。でも次からは落とさないようにしてね」
余程大切な物だったのだろうか。
大袈裟な話を皆帆はやんわり断ると
「それでは」と言って皆帆は再び学校方面へ向かう。
後に残されたその少女は嬉しそうに笑いながら皆帆の背中を見送ると、今し方返してもらったハンカチをポケットに戻した。
「(……そう言えば今の子も、天河原中の制服を着ていたなぁ……)」
彼女と分かれて少ししてから、皆帆はふと思った。
天河原中の制服に身を纏い、肩ほどまでの髪型。
被害にあっている少年が言っていた犯人像と一致する。
ただ、さっきも言った通りそれだけで決め付けるのは早計だ。
そう考えて皆帆はそれ以上、少女の事については深く考えなかった。
「……あの子……あの時の……」
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＊IJu＊(プロフ) - 偽薬さん» こんにちは！まさか偽薬さんからコメントを…！ありがとうございます！自分が書くとどうしても長編になってしまうので、短編が書ける偽薬さんが逆に羨ましいです…(笑)応援ありがとうございます！偽薬さんも自分のペースで作品作り頑張って下さい！ (2021年11月23日 1時) (
レス) @page43 id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
偽薬(プロフ) - こんにちは、偽薬です。地の文と会話文のテンポが良く、ストーリーの深め方も魅力的でした！ 長編書けるのとても羨ましいです……応援しています！ (2021年11月22日 23時) (レス) @page2 id: 21f878ceea (このIDを非表示/違反報告)
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