マルデユウメイジン ページ24
「わぁ…ホンモノの春梨ちゃんだァ……」
普通に接する皆帆に対し、西野空は星降の後ろから顔を覗かせ、まるで街中で有名人でも見かけたかのような反応を見せた。
他2人も同じように、物珍しそうに見遣る。
無理もない。何せ彼女は『高嶺の花』
下級生であり、同じ部活にも所属していない彼等からしたら、彼女の存在は言わば有名人と言っても過言ではない。
そんな彼等の視線を感じてか、やや彼女は居心地が悪そうに見えた。
「せ…先輩だぞ、西野空。ちゃん付けは失礼だ」
「いえいえ、いいのよ。全然。
私、そう言うのはあまり気にしないの。
寧ろ、ちゃん付けとかで呼ばれた方が嬉しいわ」
彼女は苦笑いを零しながら、西野空の無礼を許した。
そうすると調子に乗るのが西野空で「ほんとォ？」と何処か嬉しそうな顔をしていた。
話題を切り替え、Aは再び皆帆に向き直ると
いつも通りの微笑みを浮かべ、眠そうな口調でこてんと首を傾げた。
「ところで…皆様揃って何処か行くのかしら？」
「あぁ、友達の家にね」
「まぁ……もしかして、お見舞い？」
「うーん、まぁ…そんな所だよ」
「優しいのね」
皆帆の話を聞いて、彼女は途端に心配そうな顔をする。
だが勿論、お見舞いに行くという話は嘘である。
流石に隼総がストーカー被害にあっていて、今からその話を聞きに行く、なんてバカ正直に言えるはずもない。
まだ何もわかっていないのに、彼女伝いに妙な噂が広まってしまっては、犯人に気付かれる可能性だって大いにあるのだ。
その為、この事は秘密にするのが皆帆らの中で暗黙の了解となっていた。
まぁ、彼女の場合は周りに人が寄り付かないので
広める人がいる可能性は低いだろうが……
「じゃあ、引き留めるのも悪いわね。
『お大事に』って隼総くんに伝えておいて」
「うん、わかったよ。ありがとう」
「じゃあ、また明日ね、皆帆くん」
人のお見舞いとわかって(勘違いして)悪いと思ったのだろう。
彼女は会って早々にそう告げると、軽く手を振りながら自分の帰路へと向かって行った。
「(…………ん？)」
喜多達の横を通り過ぎる際にも「アナタ達もまたね」と告げ、彼女の背中が小さくなって行くのを呆然と見つめた後、西野空がﾊﾟﾁﾊﾟﾁと彼女を眺めながらﾎﾟﾂﾘと言った。
「わぁ………高嶺の花ちゃんとお話しちゃったァ……」
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＊IJu＊(プロフ) - 偽薬さん» こんにちは！まさか偽薬さんからコメントを…！ありがとうございます！自分が書くとどうしても長編になってしまうので、短編が書ける偽薬さんが逆に羨ましいです…(笑)応援ありがとうございます！偽薬さんも自分のペースで作品作り頑張って下さい！ (2021年11月23日 1時) (
レス) @page43 id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
偽薬(プロフ) - こんにちは、偽薬です。地の文と会話文のテンポが良く、ストーリーの深め方も魅力的でした！ 長編書けるのとても羨ましいです……応援しています！ (2021年11月22日 23時) (レス) @page2 id: 21f878ceea (このIDを非表示/違反報告)
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