オベントウ ページ19
「へぇ、意外と普通のお弁当なんだね」
「あら、どんなお弁当を想像していたのかしら？重箱に伊勢海老が入ってるとか？」
「そこまでの物は想像していなかったけれど……逆に見てみたいな、伊勢海老の入ったお弁当」
木の下の木陰に腰を下ろし、早速お互い弁当箱を開く。彼女の弁当は家柄から想像していた物よりずっと小ぶりで、本当に普通の家庭が作るような弁当だった。
中身もそう凝ったものはなく、卵焼きとウインナーとプチトマトにご飯。それだけ。
素朴な弁当で皆帆は少し驚いた。
「もしかして…自分で作った、とか？」
「あら、どうしてわかったの？すごいわ」
「(本当に自分で作ったんだ…)」
半信半疑だったが、Aの返答に皆帆はまた驚く。
てっきりこういうのはお抱えのコックに作らせる物だと思っていたから。
そこまでの家柄ではないのだろうか…？
それとも彼女が積極的に料理を作っているのだろうか？
彼女と話せば話す程、疑問が増える。
「それにしても春梨さんは料理が上手なんだね。
卵焼きがとっても綺麗だ」
「本当？とってもとっても嬉しいわ…！
良かったらお1ついかが？」
「えっ？いいのかい？」
「褒めてくれたからサービス！
お口に合うかはわからないけれど…」
「じゃあ遠慮なく」
何処か嬉しそうに自分の分の弁当を差し出す彼女に甘え、皆帆はその中から卵焼きを1つ貰った。
しかし、自分だけ貰うのも忍びない。
皆帆は自分の分の弁当を見て、その中からミニハンバーグを彼女に差し出すと、彼女は大袈裟に驚いた後、また嬉しそうに笑った。
「ふふっ…おかずの交換だなんて、まるでお友達みたい。ありがとう、皆帆くん」
「…ただの卵焼きのお礼さ」
白米の上に乗っけられたミニハンバーグを彼女はじっと見つめてから、花が咲いたような微笑みを浮かべる。
皆帆はそんな顔を見て自分も嬉しくなると共に
『こんな風におかずを交換するような友達もいないのかな』と少し心配してしまう。
本当に彼女は周りに親しい人がいなくて
教室で孤立しているのかもしれない。
そう考えると改めて、こうして下級生を誘って昼食を食べるのも納得してしまった。
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＊IJu＊(プロフ) - 偽薬さん» こんにちは！まさか偽薬さんからコメントを…！ありがとうございます！自分が書くとどうしても長編になってしまうので、短編が書ける偽薬さんが逆に羨ましいです…(笑)応援ありがとうございます！偽薬さんも自分のペースで作品作り頑張って下さい！ (2021年11月23日 1時) (
レス) @page43 id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
偽薬(プロフ) - こんにちは、偽薬です。地の文と会話文のテンポが良く、ストーリーの深め方も魅力的でした！ 長編書けるのとても羨ましいです……応援しています！ (2021年11月22日 23時) (レス) @page2 id: 21f878ceea (このIDを非表示/違反報告)
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