改めて回るんだ ページ36
飯食い終わると古城の言う通り、俺達はまた入口に戻って、水族館を見て回った。
さっきよりは人混みが多少はマシ……になった気がする。丁度昼飯の時間だから、入れ違いで飯食いに行ったのかもな。
だから、わざわざ誰かさんを抱っこしなくても水槽がそれなりに見えるようになり、古城も夢中で水槽の中で泳ぐ魚達を周りの小さな子供達のように見ていた。
「不動さん、不動さん、あれ綺麗ですよね。
なんて言うんでしょう?」
「あんなに大きな魚っているんですねぇ……
食べるとしたら何日分ぐらいでしょう?」
「不動さん、この水槽何もいな……あ、嘘ですいました。水草に擬態してます」
「(はしゃいでんなぁ……)」
一通りが少なくなり、移動しやすいのもあって古城はどんどん先に進む。
そうして水槽を眺めては子供のような発言をして、キラキラした瞳で魚を見るのだ。
古城って意外と魚好きなのな。
いや、水族館が好きなのだろうか。
前に来た時も結構興奮してた気がする。
どちらにしろ、普段では見られない姿だ。
楽しんでるのはいい事だから別に構いやしないんだけどよ。
…………デート、ってのをすっかり忘れられている気がする。
「不動さん!タカアシガニですよ、タカアシガニ!
とっても大きくて食べる部分が多そうなカニです!」
「いや、もうちょっとあっただろ……」
タカアシガニの水槽の前でも古城のこのはしゃぎっぷり。もう少し感想はないのだろうか。
薄暗い水槽の中でじっと動かないタカアシガニを目の前に「何人分の量でしょうか」なんて残酷な話をする古城。
こうなってくると魚の方が可哀想だ。
「……あ、そう言えばそろそろイルカショーの時間ですね」
「えっ?そうなのか?」
古城の話に適当に相槌打って次に行こうとすると、古城はふと思い出したかのようにそう言った。
イルカショーの時間とか古城に任せてるから知らないが、どうやらそうらしい。
「って、今から行っても最前列取られてるんじゃねーの?」
「うぐぐ……不動さんと回るのに夢中ですっかり忘れていました……仕方ないです。2番目の席にしましょう」
「いや、2番目も空いてるかどうかわからないぞ」
「そんな事より行きましょう!」と古城に手を引かれ
俺達はイルカショーの会場へと急いだ。
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*IJu*(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» コメントありがとうございます…!楽しんで頂けたようで良かったです^^更新頑張りますー! (2021年11月4日 1時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです!続きを楽しみに待っています!(*´ω`*) (2021年11月3日 4時) (レス) @page50 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
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