こんな寒い日にだ ページ32
「ったく……お前ってヤツは……」
ようやく乗った電車内で俺は思わず溜息を吐いた。
目の前ではやたらクリームやらソースやらが掛かった飲み物を飲む古城。改札内のカフェで購入した物だ。
本当にコイツは食べ物に目がないって言うか……
元々、この水族館デートも9割ぐらいは食べ物目当てだろーし。
つーか古城の飲んでるヤツめっちゃ甘そう。
見てるだけで胸焼けしそうだ。
元々甘い液体であるココアに更に甘い生クリームやらチョコソースやら掛けるかね。
他にもケーキとかに目移りしやがったから、飲み物だけで我慢させたが……この調子じゃ水族館着く頃には古城腹いっぱいなんじゃねーか？
コイツの腹に�猖�腹�瓩�あるかどうかは知らないが。
とりあえず、デートの時くらい食べ物から離れてほしい限りだ。
折角可愛いカッコしてんのに……
「不動さんも欲しいのですか？」
「いらねーよ」
「いいんですか？こんなに美味しいのに」
「そんな甘ったるいモン飲めねーよ。
いいから気にせず飲んじまえ」
「では遠慮なく」
「(いつも遠慮なんかしてねーだろ)」
半分ぐらい飲んだ所で古城が俺に飲み物を差し出すので断ると、古城は1つ頷いてから残りを一気に吸い込みやがった。
なので駅に着く頃前に甘々な飲み物を飲み干した古城は、ﾍﾟｺﾍﾟｺと空の容器を弄びながら窓の外を眺めていた。
「今日は天気が良くてよかったですね」
「おー、そうだな。
つっても水族館なんて室内だから、対して変わらないだろーが」
「それでもやはり外は明るい方がいいじゃないですか。薄暗い水族館から出ても曇ってたら気分も晴れません」
「まぁ…それもそうだが……」
「あと晴れてないとイルカショー見れないから嫌です」
「あー、一応そういうの興味あるのね？」
てっきり食べ物だけだと思ってたばっかりに
彼女の口からようやく水族館らしい言葉が飛び出て思わず拍子抜けしてしまった。
一応イルカショーとか興味あったんだな……
「という事で不動さん、最前列の席に座って頭からお水を被りましょう」
「こんな寒い日に？」
「何言ってるんです、イルカショーの醍醐味ですよ」
「こんな寒い日に？？」
……冗談で言ってるのかと思ったが
その目は子供らしくキラキラ輝いていたので
俺は思わず顔を引き攣らせた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 48人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
＊IJu＊(プロフ) - 橋本アリィちゃんさん» コメントありがとうございます…！楽しんで頂けたようで良かったです^^更新頑張りますー！ (2021年11月4日 1時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです！続きを楽しみに待っています！(*´ω｀*) (2021年11月3日 4時) (レス) @page50 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
