ト シ ノ サ 【不動明王】Part14

カオスなのです ページ14

やはり気になってしまうのでしょう。
天馬くん達に「教えてー！」「誰ー？」としつこく聞かれてしまい、私は黙ってしまう。


私は学んだんですよ。
こういう時、余計な事を言うと更に疑われるんだって。

特に私は嘘つけませんからね。
変に誤魔化そうとしても目線や表情の僅かな変化で勘づかれてしまいます。


だからずっと黙って、天馬くん達が諦めるのを待っていましたのに。


次の葵さんの一言で、更に騒がしくなってしまいました。



「もしかして……気になる人の写真？」

「…っ…」



……思わず反応してしまったじゃないですか。
だって本当の事だから。


それからはもう大変。
私の反応を見て皆様驚いた後、葵さんや天馬くん、西園くんははしゃぎますし、影山くんは「誰っ！？」って食い付きますし、狩屋くんは目が点のままで。

唯一、冷静のままの剣城くんが影山くんを宥めてくれましたが、影山くんはそれでも気になるようです。



「A…ほ、本当に好きな人いるの？」

「いません」

「ほんと〜〜？顔が『います』って言ってるけど？」

「えっ……表情って喋るんですか？」

「Aが特別わかりやすいだけだよ」

「いるんだっ！！！！」

「影山、落ち着け」

「…………………」



まさに私の周りはカオス。
影山くんに至ってはどうしてそこまで騒ぐのか。

詰め寄る葵さん達から目をそらし、私は内心頭を抱える。
持っていた封筒を胸元に抱き、何とかこの場を切り抜ける方法を考えている間も、皆様からの質問攻めに会いました。



「好きな人って帝国の人？」

「…」

「ポジションは何処？背番号は？？」

「……」

「それとも〜…やっぱり雷門？」

「………お弁当、食べましょう。
お昼休み終わっちゃいますよ」

「あ、逃げた」



彼等の質問全てを無視し、私は遂にお弁当に逃げた。

葵さん達が何か言い出す前に私は自分の口を白米で塞ぐと「あーあ」と案外あっさり諦めてくれた様子。


期待させてしまいましたし、何より誤解されていないか心配です。

ここは1本釘を刺しておきましょうか。



…いや、でもソレで変に噂が広まっても厄介ですね。

恋愛話における『絶対みんなには内緒だよ』は
『みんなにバラしてもいいよ』って意味なので。

今ここで他言無用にしても、誰かしらが広めてしまうでしょうし。



……なら、広めてもいい情報を提示しましょう。

演技派なのです→←褒めてあげているのです

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す