△リボンが250こ▽ ページ8
それから暫くは真名部はAから離れないようにしていた。
とは言っても真名部にとって難しい事ではなかった。
何せ普段から殆どの時間を共に共有しているのだから。
Aも真名部が傍にいる間は大人しく
1人で絵本を読んだり、真名部と一緒にテレビを眺めたりと、普段よりは比較的落ち着いていた。
体調も悪くなる様子はなく、度々寒そうにはしていたがそれ以外は特に異常はなかった。
だが夕飯前に1度熱を測った時の体温は37.8。
少し上がったようだった。
そのせいか、Aがいつもよりぼんやりとする時間が多く感じ、真名部はその日の夕食を急遽お粥に変更した。
「……？ドロドロのごはん？」
「お粥って言います。消化に良いので風邪などの時に食べるといいとされているんです」
「おかゆ……」
この日は真名部が夕食の支度を全て済ませ、出来上がって席に持って行くと、布団にくるまったAがぽわぽわとした様子で首を傾げた。
「……お粥、食べた事ありますか？」
「うーん……多分、食べた事ある。
ママがね、作ってくれたの」
「そ、そうですか」
まさかお粥も食べた事ないのか、と思ったがそういう事ではないらしい。
思い出したのかAは微かに口元に笑みを浮かべながら、スプーンでツンツンとお粥をつつく。
過去に母親に作ってもらった……という事は
やはり昔はごくごく普通の家庭環境だったのだろうか。
そうなると本当に、どうしてこうなってしまったのかがわからない。
何が原因で歯車が狂ってしまったのか。
気になって仕方ない。
しかし、ソレを知る術ももう無い。
何故なら彼女の母親が帰って来る可能性はもう0に等しいのだから。
彼女の母親は恐らく彼女を捨てたのだろう。
ここ1ヶ月以上も帰って来ないのはそういう事だ。
少なくとも真名部はそう考えている。
「さぁ、冷めない内に食べて下さい」
「…まなべは？」
「勿論、僕も食べますよ」
「うん、一緒に食べよ」
「…はい」
真名部も席について向き直ると、2人共両手を合わせた。
「いただきます」と声を揃えてから、いつも通り2人の食事が始まった。
美味しそうにお粥を頬張るAを見たら、彼女の母親の事も、皆帆達の事も、自分の両親の事も。
全部全部、どうでも良くなってくるような気がした。
真名部はこれがいけない事だとはわかりつつも
ただ目の前の狂った少女との平和な時間に、以前の生活では得られなかった安らぎを覚えた。
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＊IJu＊(プロフ) - 莉央夏さん» ストーリーは前々から薄ら出来上がっていたので、書いちゃいました()まだお話をまとめている途中なのでパスかけてありますが、お話が固まり次第公開しようと思いますので、気長に待って頂けると……！更新頑張ります！ (2021年5月18日 22時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
莉央夏 - 「箱庭少女の孤高哀歌」のその後を書いていただきありがとうございます！パスワードがかかっている為まだ見れていませんが無理なさらず投稿して下さい！応援してます♪ (2021年5月18日 18時) (レス) id: e85eafe245 (このIDを非表示/違反報告)
莉央夏 - ありがとうございます！気長に待ちますね！無理だけはなさらずに！ (2021年5月12日 8時) (レス) id: e85eafe245 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 莉央夏さん» ですが、まさかこうしてわざわざ御希望のコメントを貰うとは……！ちょっと前向きに考えてみますね！ (2021年5月11日 23時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 莉央夏さん» 他の作品も掛け持ちしてるし、まだまだ書きたい作品があるので優先順位が自分の中でどんどん後ろに追いやられている状態です…… (2021年5月11日 23時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
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