足止めなのです ページ40
「ザンネンだったねぇ、不動コーチの事」
正門を出て帰路に着き、どんよりする私に狩屋くんは言い放つ。
心做しか嬉しそうと言うか、楽しそうと言うか。
不動コーチの特訓メニューはスパルタなので、それが無いのが嬉しいのでしょうか。
「……良いですもん。不動さんにいっぱいイナラインしちゃいますもん」
「お前、あの人とよくイナライン出来るなぁ……」
「当たり前ですよ。不動さんですもん」
「意味不明」
そんな会話をしながら並んで帰っていたのですが、ふと前から見覚えのある人物が走っているのが見えて、私は思わず足を止めた。
狩屋くんも私を不思議に思ったのか、同じく足を止めてから「どうしたの？」と私を見て、次に私が見ている人影の方を見遣る。
見遣ってから狩屋くんは「げぇ……」と声を漏らした。
「まっ……ま、間に合っ、た……！」
その人物は私の前で足を止めると、ゼェゼェと白い息をする。普段、私と同じく運動なんてしていないからでしょう。
特徴的なオレンジ色の頭を上げて、ギョロッとした緑色の瞳で私を見上げると、
「皆帆くん……？」
「なんでお前がこんな所に……」
「ち、ちょっと……ｹﾞﾎｯｺﾞﾎｯ！……ちょっと、ま……ま、って……ね……ｹﾞﾎｯ！」
「そ、そんなに全速力で走って来られたのです……？」
……いや、息切れ過ぎて、まともに喋れない状態じゃないですか。元々体力がなく、まだまだ寒いこの時期で、どうしてそんな無茶をしたのでしょう。
とりあえず皆帆くんの呼吸が整うのを待つ。
暫くすると、ようやく話せる状態にまでなって、再度私は問い掛けると、皆帆くんはニコッと微笑んだ。
「いやぁ、実はある人達から頼まれてね。此処でキミを足止めしないといけなくなって」
「はァ？」
「はぁ……」
「はぁ、じゃないでしょA。
もう少しなんかリアクションないの？」
「いえ、何となくその人物が分かるというか……分かってしまったというか」
「…………まさか、」
「うん、そう。そのまさか」
狩屋くんも何やら察したようで、途端に表情を歪めた。
直後に後ろから皆帆くんでも狩屋くんでもない、聞き慣れた声で私の名前が呼ばれ、狩屋くんは大きな溜息を吐いた。
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＊IJu＊(プロフ) - 白銀さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて嬉しいです^^更新頑張りますー！ (2021年11月27日 23時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
白銀 - めっちゃ好きです。頑張ってください！ (2021年11月25日 0時) (レス) @page4 id: e22066a027 (このIDを非表示/違反報告)
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