甘やかしているんだ ページ29
「私、1人が苦手なんです」
俺の手を握り、俺も握り返した所で、ﾎﾟﾂﾘと古城は口を開いた。
思わず俺は聞き返すと、古城は俺を見つめたまま続けた。
「私、1人になるのが苦手なんです。
お日さま園内では慣れましたが、それ以外だと不安になってしまうんです」
「……………知ってる」
「でも今まではそれでも皆さんが一緒にいてくれました。不動さんも、陣くんも、狩屋くんも、葵さん達も。
沢山の優しい人達が、私の傍にいてくれました。
勿論、感謝しています。おかげでお日さま園に来てからは比較的平穏な日々を過ごしておりました」
「……じゃあ、なんでそこから離れたいんだ？」
「うーん……口で説明するのは難しいですねぇ……」
「どゆこと」
こてんこてん、と首を左右に傾げながら
何も考えていなさそうな顔で古城は考える。
その間、ずーっと俺の手をにぎにぎと握るので
俺も彼女の手の甲を親指で撫でていると、古城はまたこてんと首を傾げた。
「今まで私は、恵まれた事に優しい人に囲まれて過ごしていました。でも、それじゃダメだと思いまして」
「…なんでそう思う？」
「だってそれって、ずっと甘やかされているようで。
私は全然いいんですけれど……なんか、これから先もずっとそれじゃあダメかなって」
「ふぅん……」
……つまり、だ。
彼女は成長しようとしているんではないだろうか。
その一環として、1人暮らしをしてみたい、と。
確かに彼女は傍から見ても甘やかされていると思う。
彼女が望んでしまえば、ある程度は叶えてくれるヤツに囲まれてるもんな、コイツ。俺もその1人だ。
でも、それではダメだと彼女なりに思ったんだろう。
だとしたら今更な気もするが。思っただけマシか。
だが、だからっていきなり1人暮らしは彼女にはハードル高くないか……？
さっきも言ったがコイツは1人になれないんだ。
それなのに慣れ親しんだこの街を離れて、わざわざ隣県に行くとか。
限界になったらどうするつもりなんだろうか。
……それとも、こう考える事さえも
彼女にとっては�犂鼎笋�している�畛�になるんだろうか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 58人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
＊IJu＊(プロフ) - 白銀さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて嬉しいです^^更新頑張りますー！ (2021年11月27日 23時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
白銀 - めっちゃ好きです。頑張ってください！ (2021年11月25日 0時) (レス) @page4 id: e22066a027 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
