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今じゃなくてもいいんだ ページ28

「……何も今じゃなくてもいいだろ?」



色々言いたい事があったが、今はその一言で踏み止まる。

急に思い付きで決めたんだ。
なら、今なら思い付きでやめるかもしれない。


そんな淡い期待を込めて彼女に尋ねれば
古城はまた淡々と言葉を返した。



「いいえ、今じゃないとダメなんです」

「なんで」

「だって私、高校を卒業したら不動さんと一緒に住むんじゃないですか」

「おっ……お、おう……って、そこは変えないのかよ」



てっきり卒業してもそのまま1人でいると思っていたので、俺は思わずツッコんだ。

そしたら「当たり前じゃないですか」ってさも当然な態度で言われてしまう。


いや、だからイイってワケじゃねェけど……
片隅で安堵している俺は確かにいた。



「な、なんだ……つまり、JKの間だけひとり暮らしするってのか」

「そーゆー事です」

「そーゆー事か……」



……いや、でもまだ不安は拭えない。
そもそも、1人で暮らす意味がまだよくわからない。


今や沢山のお友達に囲まれている古城。
彼女が困っていれば助けてくれる人もいるし、協力してくれる人もいる。
なんなら好意を持っている人もいるし、いざと言う時守ってくれる人もいる。

そんなあたたかい輪の中にいるのに
『何となく』で離れる意味がわからない。


彼女にとって周りはそれだけ、軽い存在だったとでも言うのだろうか。



「……まだ何か言いたげですね」

「ああ、超言いたい」

「そんなに私と離れるのが寂しいんですか?
電車に乗れば会いに行ける距離なのに?」

「…………………………それもある」

「………あるんですか?」



彼女から目をそらしたのが間違いだったらしい。
途端に古城は期待を込めた眼差しを俺に向けた。

でも嘘は吐いてない。
確かに彼女に会えないのは寂しい。

週に何度か会うだけでも喧しい、騒がしいと思っていたが、いざ離れてしまうと思うと何処か物悲しくて。


そんな感情が顔に出てしまっていたのだろうか。
ふと、古城は俺に向けて両手を差し出した。

最初はなんか欲しがっているのかと思ったが
古城がその状態のまま何を要求するでもなく、ただじっと俺を見つめていたので、俺も恐る恐る両手を差し出すと、古城は俺の両手の上にそれぞれの手を重ねた。

甘やかしているんだ→←心配で堪らないんだ



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*IJu*(プロフ) - 白銀さん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けて嬉しいです^^更新頑張りますー! (2021年11月27日 23時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
白銀 - めっちゃ好きです。頑張ってください! (2021年11月25日 0時) (レス) @page4 id: e22066a027 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年11月5日 14時

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