△リボンが346こ▽ ページ6
「…って、こんな事してる場合じゃないんでした」
だがふと我に返った真名部は慌ててAから離れると、Aはまるで捨てられた子犬のような顔で真名部を見遣る。
真名部は思わず悪い事をしたような気分になったが、そういうわけにもいかない。
真名部はグッと堪えて彼女に向き直ると、表情を改めた。
「…準備は出来ましたね?」
「うん!」
「忘れ物もないですか?」
「オカネとお家のカギでしょ?まなべが持ってるからオッケー!」
「……あと、念の為Aさんも帽子を被りましょう」
「えっ?私も?」
持ち物の確認をしている時、ふと彼女が素顔丸出しなのが気になった。
世間には公開されていないであろうが、警察関係者の中では彼女の顔は知られているかもしれない。
少なくとも、自分達を追う刑事の2人は知っているだろう。ソレを共有されていても可笑しくない。
でもAはそんな理由も知らずに首を傾げ「どうして?」と真名部に尋ねた。
「……えっと、帽子、似合うかな…と、思いまして」
「そうなの…?」
「ええ、はい!Aさんなら帽子も似合うかな、と思って……試しに被ってみませんか?」
理由を尋ねられ、真名部は返答に困ってしまい、適当にそう言ってしまったが、Aは素直に信じたのか「うん!」と頷くと部屋を飛び出して、2階へと行ってしまった。
と思ったら、幾つかの帽子を持ってすぐに戻って来た。
彼女はその帽子達を机の上に広げ、1つ1つを被りながら「どう?」「似合う?」「カワイイ?」と逐一真名部に尋ねた。
「は、はい…可愛いです」
「これは?」
「そ、それも…いいと思います」
「じゃあこっちは?」
「…それは、やめておいた方が」
この展開は真名部にとってはマズい展開だった。
早くこの家を出たくて仕方ないのに。
他でもない彼女が引き留めている。
正直、顔が隠せれば何でも良いのだが、正直に言ってしまったら彼女はきっと悲しむだろう。
かと言ってこれ以上、帽子選びに付き合えそうにない真名部は、1番最初に彼女が被った帽子を手に取ると、彼女の前に差し出した。
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*IJu*(プロフ) - キジバトさん» 初めまして!コメントありがとうございます^^楽しんで頂けているようで良かったですー!作者無計画なんでこの章で終わるかはわかりませんが、でも終わりが近付いているのは確かなので、是非最後まで楽しんで頂けたら…!更新頑張ります! (2021年12月24日 0時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
キジバト - 初めまして!この作品めちゃめちゃ大好きです!文章もすっごい神だし、真名部の心の動きとかがすごく丁寧に書かれててすごく面白いです!クライマックスなのはちょっと寂しいですが,そのまま最後まで頑張ってください…!応援してます! (2021年12月23日 1時) (レス) @page1 id: 7552df8542 (このIDを非表示/違反報告)
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