△リボンが345こ▽ ページ5
3本ある内の1本。一見すると何の変わりのない、ただのテーブルナイフ。
しかし、今の真名部には手頃な
切れ味は勿論、何度か使用したから知っている。
重さはやや重いが、包丁よりは持ち運びがしやすいだろう。長さも真名部の服の袖の中に隠し持つ事が出来る程度だった。
包丁やナイフよりかは切れ味が劣るだろうが、それでも立派な刃物。十分使えるだろうと真名部は考えた。
「(……出来るだけ、使いたくないですけど)」
だがやはり真名部の中の道徳心が今更働き、持ち運ぶのが躊躇われる。
刺したら絶対に痛いだろうし、場所が悪ければ相手は死ぬ。子供でも分かることだ。
こんなモノ人に向ける場面なんて出来れば想像したくないし、そんな事したくない。
でも外に出れば、全員が敵だ。
自分達をお尋ね者と誘拐された哀れな少年として、捕まえようとして来るだろう。
捕まったら、きっともう2度と会えない。
どちらかが捕まっても、どちらも捕まっても。
ソレを避ける為、自分達だけのシアワセの為に。
必死にそう考えて、真名部は戻しかけたテーブルナイフを…………
「まなべ〜！ちゃんとお着替えして来たよ！」
「っ…！？」
その時だった。
風呂場の方からAが元気良く戻って来て、彼女は満面の笑みを浮かべながらその場で1回転する。
ふわりと舞うワンピースの裾。まるでお姫様のよう。
回転してから「どう？」と期待の眼差しを向けるAに、真名部は苦笑いを浮かべながら答えた。
「……似合ってますよ。とっても」
「ほんと？カワイイ？」
「ええ、可愛いです。素敵ですよ」
「えへへ〜…」
心からの本心を告げるとAは照れくさそうに身体を捩り、嬉しそうな顔をする。
そんな彼女に歩み寄り、髪を撫でてやると
Aは猫のように擦り寄りながら撫で受けた。
そのまま流れるように真名部に抱きつき、慣れた真名部は彼女の背中に腕を回す。
背中を撫でると耳の後ろで嬉しそうに小さく笑うAに真名部も口元を綻ばせた。
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＊IJu＊(プロフ) - キジバトさん» 初めまして！コメントありがとうございます^^楽しんで頂けているようで良かったですー！作者無計画なんでこの章で終わるかはわかりませんが、でも終わりが近付いているのは確かなので、是非最後まで楽しんで頂けたら…！更新頑張ります！ (2021年12月24日 0時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
キジバト - 初めまして！この作品めちゃめちゃ大好きです！文章もすっごい神だし、真名部の心の動きとかがすごく丁寧に書かれててすごく面白いです！クライマックスなのはちょっと寂しいですが，そのまま最後まで頑張ってください…！応援してます！ (2021年12月23日 1時) (レス) @page1 id: 7552df8542 (このIDを非表示/違反報告)
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