▲リボンが379こ▼ ページ39
「そうなんだぁ……まなべもいっぱい悪い事しちゃったんだね」
そんな真名部を知ってか知らずが、Aは顔を覗き込んで、しょんぼりした顔でそう呟いた。
「じゃあ、天国じゃないね」と悲しそうな顔をするAに真名部も視線を落とすと「でも」とAはおもむろに真名部の手を取り、言葉を続けた。
「ここ、地獄でもないと思うんだ」
「……どうして、そう思うんですか?」
「だって、此処にママがいないから!」
「な……なるほど…」
生前と変わらぬ無邪気な笑みを浮かべながらそう答えるAに真名部は返答に困った。
が、内心では何処か納得してしまう。
彼女の母がいるのなら、此処は確実に『地獄』だろう。
そうでなければ納得出来ない。
だって彼女を散々傷付けて、自分勝手に暴力を振るって。
ここまで彼女が生きていたのが奇跡に近い。
1人の人間を、自分の娘を、ここまで狂わせた人が
天国になど行けるものか。
しかし、此処が地獄じゃないとするのなら
一体何処なのだろう?
真名部は死後の世界など信じちゃいなかったから、何にもわからない。
寧ろ、こんな世界があった事に驚きだ。
この世界にあるのは今の所、青白い月と真っ赤な空
そして狂い咲く彼岸花。それだけ。
ずっとずっと向こう側を見てみても、同じ景色が続いていて、建物とかは見当たらない。
本当に何にも無いんじゃないかと思えるぐらい静かで、不気味で、真っ赤な場所だった。
「天国でもない、地獄でもない……だとすると、此処は一体……?
三途の川……いや、そもそも川なんてありませんし……
輪廻がなんちゃらは……よくわかりませんし……
ああ、こういう事なら皆帆くんに聞かされた死後の世界の話、ちゃんと聞いておけば良かった……!」
「……」
ブツブツと1人で考えるようになってしまい、Aは瞬きをしながらそれを暫くは見ていた。
が、途中で飽きたのか。それとも戻って来てほしかったのか。
不意にAは真名部に顔を近付ける。
真名部は考え事に夢中で気付くのが遅く
彼が気付いて「あ、」と声をあげた時には
Aは真名部が最後にやったような
触れるだけの優しいキスをした。
「あ…………ぁ……」
「…えへへ、おかえし」
「………っ〜〜〜〜〜!!?」
理解が追いつかなくて、ポカンとした顔をする真名部。
だがAがふにゃりと笑いながら頬を染めたのを見て
まるで顔から火でもついたかのように、ボッと顔を真っ赤に染めた。
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*IJu*(プロフ) - キジバトさん» 初めまして!コメントありがとうございます^^楽しんで頂けているようで良かったですー!作者無計画なんでこの章で終わるかはわかりませんが、でも終わりが近付いているのは確かなので、是非最後まで楽しんで頂けたら…!更新頑張ります! (2021年12月24日 0時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
キジバト - 初めまして!この作品めちゃめちゃ大好きです!文章もすっごい神だし、真名部の心の動きとかがすごく丁寧に書かれててすごく面白いです!クライマックスなのはちょっと寂しいですが,そのまま最後まで頑張ってください…!応援してます! (2021年12月23日 1時) (レス) @page1 id: 7552df8542 (このIDを非表示/違反報告)
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