△リボンが365こ▽ ページ25
真名部はゆっくりしゃがみこみ、彼女に声を掛ける。
彼女は苦しむ様子も痛がる様子もなく、ただ何処か遠くを見ていた気がした。
そんな彼女の返事は小さな呻き声だけで、その胸元がじわりと赤く染まっていく。
ソレを見た瞬間、真名部の思考が真っ白になった。
今度は真名部が目を見開き、固まった。
その瞬間、真名部の何かが
まるでステンドグラスのように大きな音を立てて壊れた。
「＿＿＿＿確保っ！！」
煙の上がる銃を持った男性警官の一声で、その場に踏みとどまっていた他の警察官が動き出す。
無論、Aと真名部を確保する為だ。
ただ1人、皆帆だけが取り残されたかのようにその場に立ち尽くしていた。
すぐ横を通り過ぎる警察官。
皆帆は呆然とする。
この時、皆帆はショックを受けていた。
目の前で人が撃たれる所を目撃してしまったからだ。
いくらサスペンスドラマで見慣れようと、ミステリー小説で読み慣れようと、それは所詮フィクションであり、現実ではない。
何処かファンタジーのような感覚で見ていたのだろう。ソレが現実に、目の前で起こったのだ。
しかも、その引き金はもしかしたら自分が引いたのではないかと。そんな思いが込み上げる。
だって自分が彼女らを追い詰めなければ。
こんな事にはならなかった。
だって自分が此処に来なければ。
こんな事にはならなかった。
勿論、そんなのは思い込みだ。
しかし、当時の皆帆はまだ齢15の少年。
皆帆は真名部達から目を離せないまま
思わず1歩、後退った。
「＿＿＿＿ああ、」
バタバタとこちらに駆け寄る警官達。
Aの胸元の真っ赤なシミは今も尚広がり、真名部は項垂れる。
「＿＿＿＿あ、あぁあ、」
警察が何か叫んでいる。
何か喚いて、煩わしく騒いでいる。
真名部は低く、腹の底から響くような震えた声を上げ、Aの手を握った。
「＿＿＿＿ああ、あ、あぁ、あ、」
いつもなら握り返してくれる、彼女の手。
細くて白くて、真名部でも力を入れたら簡単に折れてしまいそうな手。
その手から銀色に光るソレを受け取り、握り締めた。
駆け寄って来た警察官の1人が、Aに触れようとした。
その、汚い、穢い、彼女を壊した、その手で、彼女に。
だから、彼は。
「＿＿＿＿ああああああああああぁぁぁっ！！！」
彼女に触れようとした男に向けて
握り締めていたナイフを突き刺した。
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＊IJu＊(プロフ) - キジバトさん» 初めまして！コメントありがとうございます^^楽しんで頂けているようで良かったですー！作者無計画なんでこの章で終わるかはわかりませんが、でも終わりが近付いているのは確かなので、是非最後まで楽しんで頂けたら…！更新頑張ります！ (2021年12月24日 0時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
キジバト - 初めまして！この作品めちゃめちゃ大好きです！文章もすっごい神だし、真名部の心の動きとかがすごく丁寧に書かれててすごく面白いです！クライマックスなのはちょっと寂しいですが，そのまま最後まで頑張ってください…！応援してます！ (2021年12月23日 1時) (レス) @page1 id: 7552df8542 (このIDを非表示/違反報告)
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