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△リボンが363こ▽ ページ23

「……私が行かなければ、まなべは死なない?」



ふと、皆帆と真名部を交互に見てオロオロしていたAが口を開く。

困ったような顔をしながらも首を傾げると、そっと真名部が持つナイフを見ながら言葉を続けた。



「私がみなほの所に行かなければ、まなべは死なない?

警察の所に行かなければ、まなべは死なない?」

「…………はい…………」

「…………」



彼女の言葉に、真名部は小さく頷く。
するとAは視線を落とし、少しだけ考えた。


一瞬、それでも彼女は戻って来てくれないのかと真名部は思ってしまった。

だが次に顔を上げた彼女が下した答えに心から安堵する。



「…………わかった」

「っ……!」

「まなべには死んでほしくないもん。
それにそのナイフね、刺すと痛いんだよ。
使った事あるからわかる(・・・・・・・・・・・)

まなべには『痛い』ってなってほしくないから」



少し困惑しながらも、確かに彼女はそう答え
踵を返すと、真名部の方へと戻って行った。

これには皆帆も眉を顰める。
対して真名部は目を見張り、安堵の表情を浮かべた。


やがて彼女は真名部の前に立つと「ん」と手を差し出した。

その手の意味がわからず、数秒意味を考えていると
Aはムッと眉間にシワを寄せた顔で言った。



「……ソレ、私にちょうだい」

「えっ……」

「だって危ないんだもん。まなべがケガしちゃう。だからボッシュー」

「で……でも……」

「没収」

「…………………」



真名部は最初、戸惑っていたが
彼女の無言の圧に負け、真名部は喉元に突きつけていたナイフをゆっくりと下ろした。

そうしてゆっくり、震える手で彼女の差し出す手の上にナイフを置くと、Aはソレを受け取った。


武器を無くした真名部は一気に不安になった。
御守り程度として持っていたのだが、やはりいざと言う時の事を考えるとあった方が良かっただろう。
先程の使い方も見つけたし、尚更だ。


だがひとまず、Aが自首する事は無くなった。
自分の手が届く範囲に戻って来たのだ。

真名部は1つ息を吐いて胸を撫で下ろす。
でも現状が膠着状態なのは変わらない。
どうにかして、この場を切り抜けなければ。


不意に、真名部は顔を上げた。

この後の事は何も考えていない。
だからまずは周りを見て、どうにか逃げ出す方法を……と思ったのだが。



「___真名部くんっ!!」



目の前に立つ彼女は何故か

フライパンを振り上げていた。

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*IJu*(プロフ) - キジバトさん» 初めまして!コメントありがとうございます^^楽しんで頂けているようで良かったですー!作者無計画なんでこの章で終わるかはわかりませんが、でも終わりが近付いているのは確かなので、是非最後まで楽しんで頂けたら…!更新頑張ります! (2021年12月24日 0時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
キジバト - 初めまして!この作品めちゃめちゃ大好きです!文章もすっごい神だし、真名部の心の動きとかがすごく丁寧に書かれててすごく面白いです!クライマックスなのはちょっと寂しいですが,そのまま最後まで頑張ってください…!応援してます! (2021年12月23日 1時) (レス) @page1 id: 7552df8542 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年11月26日 1時

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