彼女は聞けない ページ44
「おはよう、A!」
朝。覚める前にリラに起こされ、僕はのっそり上体を起こす。
大きな欠伸をしながらその場で胡座をかいたら、リラから「こらっ」と怒られてしまったので、渋々足を崩した。
ったく、いちいち細かいの……
「女の子なんだから、そういう座り方しちゃダメよ!
それに夜更かしでもしたの?まだ眠たそうな顔をして」
「ちょっと気分転換に外出てたけど、夜更かしって程じゃねーよ……」
『寧ろ夜更かしの原因リラだし』と心の中で付け足して、僕はリラに促されるまま朝の支度を行った。
リラって見た目は綺麗だけど、寝相は可愛くないんだよな……ベット一緒だけど、しょっちゅう顔にリラの手が落ちて来て、その度に起きちまうんだ。
オマケに涎垂らしながら寝るし……
ベット、一緒じゃない方が良かったかも。
「もう!夜更かしはお肌の大敵よ!
Aも顔は綺麗なんだから、ちゃんと寝なきゃダメよ」
「顔爐廊瓠帖帖」
「とにかく!早く支度終わらせなさいよ!
今日、目的地に着く予定なんでしょ?」
「ッチ……」
僕の寝不足の原因はそんな事露知らず、小言を言いながら自分の支度を再開させた。
…色々ツッコミたいけど、まぁいい。
彼女の言う通り、今日は目的地である場所に着く予定の日だ。
あーあ、鎧ちゃんと着ないとな。
「……なぁ、リラ」
「なぁに?」
ふと、僕は鏡の前で髪を梳かすリラに声を掛けると、彼女は振り返らずに返事をする。
でもその先がどうしても言えなくて。
喉元でつっかえて、上手く出せなくて。
言葉を詰まらせていると、リラは髪を梳かすのを中断し、僕の方を振り返り「どうしたの?」と首を傾げた。
「……………なんでもない」
「あら、そう…?」
「……うん」
聞きたかった言葉を飲み込み、僕は小さく頷くと
リラは不思議そうな顔をしながらも再び鏡の方に向き直り、髪を梳かし始める。
そんな彼女の背中を見てから『何考えてんだろう』って自分で可笑しくて。
僕は溜息を吐くと、ようやくベットから立ち上がり朝の支度を始めた。
「…………」
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*IJu*(プロフ) - Schall_108さん» こんばんは、コメントありがとうございます!そう言って下さって嬉しいです…!掛け持ちしているのでノロノロ更新ですが、是非気長にお待ち頂けると…!すみませんorz (2021年4月7日 0時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
Schall_108(プロフ) - こんばんは!やっぱりこの小説好きです!毎日更新楽しみにしてます)^o^( (2021年4月4日 23時) (レス) id: ac70789a4c (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - Schall_108さん» コメントありがとうございます…!!て、徹夜?!余程夢中になられたんですね…!恐縮です(´˘`*)まだまだこの物語はつづきますので、宜しければ最後までお付き合いして頂けると嬉しいです…!更新頑張ります〜! (2021年1月20日 0時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
Schall_108(プロフ) - ゴウセルの夢小説を漁っていたら!この作品に会いました!読むのがやめられなく6時間かけて徹夜で読んでしまいました!更新楽しみに待ってます!あと‥。素晴らしい作品を長い間書き続けて頂いてありがとうございます!本当にこの作品大好きです! (2021年1月19日 6時) (レス) id: ac70789a4c (このIDを非表示/違反報告)
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