彼女の為なら【七つの大罪】Part9

彼女とアーマンド ページ33

瞬間、殴り掛かろうとしていた魔神族は急速に凍り
あっという間に気色悪いオブジェが出来上がった。

このまま飾っておいてもいいと思うけど、流石に趣味が悪いと思った僕は、突き刺したままだった神器を横に薙ぎ払う。


氷のオブジェは音を立てて崩れていき、跡形もなく粉々になった。



『魂(タマシー)…喰ワセロ！！！』



そうなったら後ろで突っ立ってたデカい魔神族が黙ってない。

急に動き出したかと言うと、気味の悪い叫び声をあげ、丁度下にいる僕達に向けて拳を振り下ろそうとした。


だが拳を振り上げは出来ても、振り下ろす事はなかった。

その前にキングが神器(シャスティフォル)でみじん切りにしてくれたからね。


でもそのおかげで周りに魔神族のミンチが飛び散り、辺りが汚れてしまう。

僕は髪の毛(プラチナソード)で防いだから、汚れる事はなかったけれど。


……ああ、あとついでにゴウセルと抱えてる金髪のガキも。
近くにいたからついでな。



「ま…まさか、あの人たち…」

「ねえ…あの黒髪の人って…」

「俺たちを救って…くれた……のか？」

「わかんねえよ…」



僕達の登場に町の人は困惑してるみたいだ。

本人目の前にヒソヒソ話しやがって。
折角助けてやったってのに。


でも、ガキ達はわかってくれたみたいだ。
一目散にゴウセルの周りに集まって、ワッと歓声をあげた。



「やっぱりアーマンドだ！！
ぺリオを助けてくれたのね！！」

「帰ってきてくれたんだな、アーマンド！！」

「ぺリオもアーマンドもすげぇぜ！！」

「メラ…エリック…トーマス…カッツ…元気そうだね」

「アーマンド……？」



でも不思議な事にゴウセルではなく『アーマンド』と呼ばれており、僕は思わず首を傾げたが、その後にすぐ思い出した。


あー……なんか、僕がコイツに記憶消された頃に言ってたな。
『アーマンド』って名前で向こうで過ごしてるって。

頭がモジャモジャの黒髪なのもその時の仮の姿なのだろうか。



「隣のねーちゃんって、アーマンドが言ってた彼女？」

「……は？」

「すっげぇ美人だぁ……」

「んもぅ！これだから男はっ…！」

「は？？」



暫くわいわい騒いでて、ゴウセルは何処か懐かしむような顔してたけど、直後に放たれた衝撃的な言葉に僕は思わず素で返す。

無言でゴウセルを睨みつけ、説明を求めると
ゴウセルは『あとでね』と口パクで言いやがった。



………あとで覚えてろ、クソ人形。

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