彼女はまた ページ29
「……つーか、それ以前にさぁ」
水を1口飲んでから、僕はようやく口を開く。
隣に座ってニコニコしてる人形野郎をひと睨みすると、ゴウセルはパチパチと長い睫毛を瞬かせた。
「なんでお前、そう平然としてられるワケ?
昨日の記憶消しちゃったの?何僕の隣でヘラヘラ笑ってるの?」
「昨日の……記憶?」
僕の言葉をオウム返しに繰り返すゴウセルはまるで本当に昨日の記憶が無くなったかのような惚けっぷりだった。
首を傾げるゴウセルに周りは「昨日の記憶……?」と興味を持ち始める。
一部はソレで話の内容が読めたのか、呆れたような顔されてしまった。
「Aったら、またゴウセルにイジワル言ったの?」
「相変わらずだな、A」
「オメェ、どんだけゴウセルの事嫌いなんだよ?
同じ〈七つの大罪〉の仲間だろ?もう少し仲良くしろよな、プゴッ」
「はァ?」
……いや、豚野郎にまで呆れられるのは腹立つな。
団長達ならまだしも、お前は僕の何をわかると言うんだ。
思わず目を眇め、豚野郎を睨むと
途端にヤツは情けない声をあげて、その場に固まった。
そんな豚野郎に僕は溜息を吐いてから、再びゴウセルを睨みつける。
ゴウセルはじっと僕を見つめた後に一度視線をそらし、そうして再び僕と合わせると、にこりと笑った。
「……気にした方が、良かった?」
「…………は?」
「気にした方が良かったかな?
Aが気まずくなるかと思ったから、気にしないようにしてたんだけど……」
___ああ、まただ。またコレだ。
眉を下げながら笑うゴウセルの言葉に僕は目を見張る。
コイツ……僕が顔を合わせた時、気まずくなるのを避けて、いつものように過ごしていたってワケか?
まさか人形野郎に気を遣われたとは。
屈辱だ。ムカつく。ああ、ホント腹立つよ。
でも同時に沸き起こる得体の知れない感情。
気持ち悪い。気持ち悪くてたまらない。
腸掻き毟って全部全部取り除きたいくらいだ。
「ごめんね、A。また怒らせちゃったかな?」
「…………」
「……ごめんね」
これ以上ゴウセルを視界に入れると、感情のままにまた暴れてしまいそうで。
僕はすぐゴウセルから視線をそらし、持っていたパンに齧り付くと、ゴウセルは肩を落として謝った。
…………ああ、結局気まずくなっちまったじゃねェか。
誰かさんのせいで。
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*IJu*(プロフ) - Schall_108さん» こんばんは、コメントありがとうございます!そう言って下さって嬉しいです…!掛け持ちしているのでノロノロ更新ですが、是非気長にお待ち頂けると…!すみませんorz (2021年4月7日 0時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
Schall_108(プロフ) - こんばんは!やっぱりこの小説好きです!毎日更新楽しみにしてます)^o^( (2021年4月4日 23時) (レス) id: ac70789a4c (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - Schall_108さん» コメントありがとうございます…!!て、徹夜?!余程夢中になられたんですね…!恐縮です(´˘`*)まだまだこの物語はつづきますので、宜しければ最後までお付き合いして頂けると嬉しいです…!更新頑張ります〜! (2021年1月20日 0時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
Schall_108(プロフ) - ゴウセルの夢小説を漁っていたら!この作品に会いました!読むのがやめられなく6時間かけて徹夜で読んでしまいました!更新楽しみに待ってます!あと‥。素晴らしい作品を長い間書き続けて頂いてありがとうございます!本当にこの作品大好きです! (2021年1月19日 6時) (レス) id: ac70789a4c (このIDを非表示/違反報告)
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