彼女の為なら【七つの大罪】Part9

彼は鈍い ページ3

「えっ…？」



団長の言葉に俺は思わず顔を上げた。


�爐修譴世鵜瓠帖�どういう事だろう？
首を傾げて団長に尋ねると、団長は人差し指を突き立てながら続けた。



「あのな？確かにAはお前の事を怖がってるかもしれん。傷付けるのが怖くて避けてるのかもしれん。

だけどな？本当にそれだけなのか？
他にもないか？Aをああさせるモノ」

「ほ、他にも、って……」



………そんな事言われても、他に思い浮かばない。


彼女が俺を避けるのは、俺を傷付けるのを怖がってるから。
俺に危害を加えられるのを怖がってるから。


でもそれ以外に、何かあるの？

Aが俺を避けるモノ。
Aがあそこまで俺を怖がるモノ。

Aが俺を拒む理由………



「はぁ………お前は乙女心をわかっとらんな」

「お…乙女……心？」



一体どんなモノか考えていたら、団長から斜め上のヒントを貰った。


乙女心。聞いた事あるし知ってるよ。
本でも何回も読んだ事がある。

よく恋する女の子の心を指し示す時に使う言葉だ。
女心は複雑で、でも純粋だから。


だけど、まさか今こんな話をしている時に飛び出してくるとは思わなかった……
俺は思わず拍子抜けな顔をして団長を見遣る。

そうしたら団長は立てた人差し指を左右に揺らしながら、まるで何処かの学者のように続けた。



「Aだって、ああ見えて立派な乙女だからな。
そこん所を理解してきちんと接してやらんと、いつまで経ってもこのままだぞ？」

「…？知ってるよ。Aは生物学上、女の子だもん。ちゃんと正しく理解してるよ。
そもそも魔女族は女性しかいないんだから」

「そうじゃなくってな……
乙女としての心をな？ああ見えてAは持ち合わせているワケで」

「……？Aは恋をしているの？」

「…………はぁ」



団長の言っている事がイマイチ理解出来なくて、俺は団長に尋ねると、何故か団長に溜息を吐かれてしまう。


呆れられちゃったけれど……でも団長も意地悪だよね。ハッキリ教えてくれればいいのに。

それともこの問題はやっぱり、俺とAで解決しなくちゃいけないのかな。



「…心を取り戻しても鈍いのはそのまま、か。
いや、寧ろ悪化してると見える」

「何が悪化しているの？」

「しかも嫌味ナシと来た。
心が読めるのに鈍いって……」

「………？？」



更に意味深な事を団長が呟くので、俺の疑問は止まらない。

でも結局団長はそれ以上は教えてくれなかった。

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