彼女はお人好し ページ13
「でもね、今はもう大丈夫だよ。
だってもう1人じゃない。〈七つの大罪〉の皆がいるから。
それにずっと悲しんでいたら、ナージャもきっと悲しむと思うから……ちゃんと受け止めて、前に進まないとね」
「……」
寂しそうな顔してたけど、不意にヤツは顔を上げるとそう告げる。
前向きな事言ってるようだけど、顔はまだ全然悲しそう。
今にも泣いてしまうそうに見えて、僕は思わず顔を顰めた。
……大切な人がいない悲しみは、よくわかる。
僕だってそうなった時は本当に本当にどうにかなりそうになった。
リラがもうこの世にいないって思うと、生きるのも辛くて。苦しくて。
でもリラが僕を守ってくれたから。
僕を庇って死んだから。
消えたくても、そう簡単に消えられそうになくて。
ゴウセルも多分、同じだった。
そうしてゴウセルは記憶を消して、ナージャとの思い出を
思い出すだけで辛くなるから。
現実を知るともう立っていられなくなるから。
ゴウセルは幸せな記憶ごと全部消したんだ。
きっと僕もゴウセルと同じチカラを持っていたら、同じようにしただろう。
そこだけはゴウセルと共感出来た気がした。
「……そう」
「…同情、してくれているのかな?」
「ハッ、バカが。そんなお人好しに僕が見えるのか?」
こんな時でもいつもの悪態を口にしてしまい
言ってから自分で後悔した。
でもゴウセルは笑ったまま「うん」だなんて頷いて。
屈託のない笑顔を浮かべた。
「Aはお人好しだよ。それでいて優しい。
でもAは素直になれないから、いつもそうやって意地悪な事ばっかり言うんだ」
「……」
「ありがとう、A。俺の話を聞いてくれて。
ナージャの事を思い出させてくれて。
それと、改めて……これからもよろしくね、A」
ゴウセルは笑顔のまま、そっと僕の両手を握った。
きゅっと軽く握られた手は、人形のクセにあたたかくて、僕は一瞬その手を拒めなかった。
それどころか、無意識の内にその手を握り返していて
僕もゴウセルも驚いた顔をして、互いの手を見遣った。
「……A、今……」
「部屋、戻る」
咄嗟に僕はゴウセルの手を払い、その先の言葉も聞かずに逃げるように部屋へと戻った。
なんだ…なんだ?今のは?
僕に一体、何が起きた??
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*IJu*(プロフ) - Schall_108さん» こんばんは、コメントありがとうございます!そう言って下さって嬉しいです…!掛け持ちしているのでノロノロ更新ですが、是非気長にお待ち頂けると…!すみませんorz (2021年4月7日 0時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
Schall_108(プロフ) - こんばんは!やっぱりこの小説好きです!毎日更新楽しみにしてます)^o^( (2021年4月4日 23時) (レス) id: ac70789a4c (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - Schall_108さん» コメントありがとうございます…!!て、徹夜?!余程夢中になられたんですね…!恐縮です(´˘`*)まだまだこの物語はつづきますので、宜しければ最後までお付き合いして頂けると嬉しいです…!更新頑張ります〜! (2021年1月20日 0時) (レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
Schall_108(プロフ) - ゴウセルの夢小説を漁っていたら!この作品に会いました!読むのがやめられなく6時間かけて徹夜で読んでしまいました!更新楽しみに待ってます!あと‥。素晴らしい作品を長い間書き続けて頂いてありがとうございます!本当にこの作品大好きです! (2021年1月19日 6時) (レス) id: ac70789a4c (このIDを非表示/違反報告)
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