◇ラプンツェルと助け舟 ページ42
「飛鷹、少し話さないか?
俺達、まだお前の事なにも知らないからさ」
そんなトビタカに今度はエンドウが話し掛けた。
トビタカは一瞬エンドウの方を見たけれど、すぐに目を逸らして口を開く。
「…キャプテン、ありがたい話ですが俺は知ってもらう程大した人間じゃありません」
でもエンドウに対しては妙に礼儀正しかった。
これも私と話してる時とは違って、ちょっと違和感。
トビタカは最後に「……失礼します」と告げると、トビタカはそのまま食堂から出て行った。
「礼儀は弁えてるみたいだけど…よくわからないヤツだな」
「うん…」
「格好とか、どこか不良っぽいですよね」
トビタカの出て行った後をカゼマルとエンドウは不思議そうに見遣る。
ハルナも食器を洗いながら首を傾げてそう言うけれど、アキだけは違った。
「そう?みんな考え過ぎよ。ね?Aちゃん」
「うん!トビタカは優しいもん」
「優しい…?アイツの?何処が?」
「荷物持ってくれたり、私の心配してくれたり!
昨日なんか病院まで送ってくれたし、私が迷子になった時の為にって連絡先も交換してくれて…」
「……病院?」
ツナミに聞かれて私はトビタカの優しい所を言ってみるけれど、うっかり病院の事も口にしちゃって私は思わず固まった。
訝しげな皆の視線が刺さる。
病気の事はなるべく隠したい私は、ダラダラと汗を流しながら、何とか誤魔化す方法を考える。
こ、こんな時トビタカがいてくれれば昨日みたいに助けてくれたんだろうけれど……お部屋戻っちゃったし……ど、どうしよ……
思わず口篭り、考えながら「えーと、えーと!」と私は1人でオロオロしていると、不意に思わぬ人物からの助け船がやって来た。
「皆さーーん!!オーストラリア代表の情報を入手しました!」
不意にそんな声と共に、何処かに出掛けていたメガネが食堂にやって来た。
その手にはCDディスク。
きっとあの中に情報が入ってるいるんだろうね。
「「おおっ!!」」
「やるじゃねぇか!」
「僕の情報収集能力、お見せしましょう!」
途端に湧き上がる食堂内。
そんな中、メガネはこれ以上にない程得意気にメガネを弄る。
メガネのおかげで皆の注意が私から逸れ
私は思わず胸を撫で下ろした。
「…………」
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*IJu*(プロフ) - みづきちさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けてるようで良かったです( ˇωˇ ) (2020年11月5日 2時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
みづきち(プロフ) - 尊い、、、ありがたや(拝) (2020年11月4日 22時) (レス) id: 1fec416d23 (このIDを非表示/違反報告)
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