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◇ラプンツェルは尋ねる ページ40

「イタズラかなとも考えた。でもイタズラにしてはちょっと意地悪じゃないって言うか……悪意を感じなかったの。
だから多分、純粋にくれたんだろうなって」



私なりの意見を言って、私は顔を上げて扉の方を見遣る。

扉の向こうのフドウは一体どんな顔をしているんだろう。


今すぐ扉を開けて確認したい。
でもそんな事したら、すぐにまた反対側から閉められるんだろうな。


フドウはいつもそうだ。
向こうからは来るクセに、こっちから歩み寄ろうとすると突っ撥ねる。

真・帝国学園の時からそうだ。
向こうから誘って来たクセに、最終的には私にライモンに行くよう促したりして。


今の状況がまるで、今の私達の関係のように思えた。



「……ねぇ、フドウ。

あのクローバーをくれたの、フドウでしょ」



聞こうか迷ったけれど、結局聞いてしまった。

案の定、向こうは答えない。
また黙りを決め込んで、答えようとしない。


でもフドウ以外有り得ない。
タカナシ達はちゃんとお見舞いに来てくれたし
まず普通に考えて、窓から来る人なんていないから。

だけどフドウは私を迎えに来た時、窓からやって来た。
囚われたお姫様を助け出すまるで王子様のように
木に登って、窓から私の病室にやって来た。


もう、フドウしかいないんだよ。

考えられる人は。



『……ンなワケないだろ。
お前なんかの為にわざわざそこらの雑草なんか摘むかよ』



予想通り、帰って来た言葉は否定。
しかも意地悪なセリフ付き。


予想通り過ぎて、思わず苦笑いを浮かべてしまう。

そうだよね。もしそうだとしても、フドウは認めないよね。だって意地悪だから。



「………そっか」

『…話はもう終わりか?
なら、さっさと消えろよな。
俺はお前なんかと違って忙しいんだ』



しかもそんな事まで言っちゃって。
本当、意地悪だよね。何が忙しいのよ。

でもそろそろお昼ご飯を作る時間だし、仕方ないからお話は終わりにする事にした。


最後に私は扉の前に立ち、そっと手を扉に伸ばす。

まるで掌を合わせるように扉に手を付けると
私はぎこちない笑みを浮かべた。



「…急にごめんね。でもお話してくれてありがとう。

………また今度、お話しようね」

『………』



向こうからの返事はなく、私は小さく溜息を吐くと
踵を返してそのまま食堂の方へと向かった。


でもこの時気付かなかった。
扉の隙間から覗く視線に。

何とも言えない表情でこちらを見遣る視線に。

◇ラプンツェルと気だるげな昼食→←◇ラプンツェルのお話



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*IJu*(プロフ) - みづきちさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けてるようで良かったです( ˇωˇ ) (2020年11月5日 2時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
みづきち(プロフ) - 尊い、、、ありがたや(拝) (2020年11月4日 22時) (レス) id: 1fec416d23 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年9月17日 3時

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